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NHK 受信料・受信契約に関する記事一覧

(注意)2011年に放送法が改正されたので、それ以前のNHKに関する記載は現状にそぐわない可能性があります。

[NHK]

インターネット接続に対してNHK受信契約を義務付けへ / 2010-03-24 (水)

追記(2010年6月20日記載)

本記事に記載されている放送法改正案は、衆議院で可決の上で参議院に送付されていましたが、先の国会閉会と共に廃案になりました。

本記事記載後の国会にて、政府側は「インターネット接続は放送としない」との趣旨の答弁をしています。(必要であれば国会議事録等をご参照願います)
一方で、立教大学社会学部の砂川浩慶准教授は、上記の国会答弁があった後もインターネット接続は放送になるとの見解を示しています。

なお、砂川浩慶准教授は2009年7月に出版された「放送法を読みとく(商事法務)」の著者の一人でもあることから、放送法分野についてもそれなりの知識を有している方であると思われます。
このように専門書に共著として参加されている方から、今回廃案となった放送法改正案について、インターネット接続は放送になるとの前提を元にして「ブログやツイッターなどインターネット上の個人の情報発信までが、政府の規制下に置かれる」との解釈を示されていることから、インターネット接続は放送になるとする解釈に一定の蓋然性があることを示しているのだろうと考えています。

なお、砂川浩慶准教授の見解は以下で見ることができます。
インターネットを政府の規制下に置く放送法改正が衆院を通過:ビデオニュース・ドットコム インタビューズ(2010年5月29日)

追記前の冒頭部

平成22年3月5日(金)の定例閣議にて閣議決定された「放送法等の一部を改正する法律案(参照:総務省の国会提出法案)」ですが、改めてよく見てみました。

2010年3月国会提出の「放送法等の一部を改正する法律案」より

(定義)
第二条 この法律及びこの法律に基づく命令の規定の解釈に関しては、次の定義に従うものとする。
 一 「放送」とは、公衆によつて直接受信されることを目的とする電気通信(電気通信事業法(昭和五十九年法律第八十六号)第二条第一号に規定する電気通信をいう。)の送信(他人の電気通信設備(同条第二号に規定する電気通信設備をいう。以下同じ。)を用いて行われるものを含む。)をいう。
 二 「基幹放送」とは、電波法(昭和二十五年法律第百三十一号)の規定により放送をする無線局に専ら又は優先的に割り当てられるものとされた周波数の電波を使用する放送をいう。
 三 「一般放送」とは、基幹放送以外の放送をいう。
(以下略)

まず、電気通信事業法第二条第一号によれば、「電気通信」は「有線、無線その他の電磁的方式により、符号、音響又は影像を送り、伝え、又は受けることをいう 」とされています。
「公衆によつて直接受信されることを目的とする」は、著作権法第二条の中で公衆送信・自動公衆送信などの定義にも使われている表現です。なお、公衆送信は「公衆によつて直接受信されることを目的として無線通信又は有線電気通信の送信(中略)を行うことをいう 」とされています。また、自動公衆送信は「公衆送信のうち、公衆からの求めに応じ自動的に行うもの(放送又は有線放送に該当するものを除く。)をいう。」 とされており、自動公衆送信・それに関連した送信可能化権がインターネットを対象とした規定であったことを想起していただければ、「公衆によつて直接受信されることを目的とする」の表記はインターネットの通信も含むことがわかります。
上記のことから、今回の改正案が成立した場合は放送法上の「放送」の意味としては、従来からの放送(無線通信の送信)だけでなく、ケーブルテレビ(有線放送)やインターネットも含まれることになります。

これでは、インターネット上の通信は放送と考えるしかありません。また、今までの放送に相当する基幹放送以外の放送は一般放送とされていますが、一般放送は126条の規定で総務大臣に対して住所・氏名等を登録する必要があるとされています。なんか前に提案されていたネットを規制すると言われた放送法案と中身は大同小異なのでしょうか?それとも、私が何か勘違いしているのですかね?
それはさておき、今日はNHKの受信料について見ていきます。

2010年3月国会提出の「放送法等の一部を改正する法律案」より

(受信契約及び受信料)
第六十四条 協会の放送を受信することのできる受信設備を設置した者は、協会とその放送の受信についての契約をしなければならない。ただし、放送の受信を目的としない受信設備又はラジオ放送(音声その他の音響を送る放送であつて、テレビジョン放送及び多重放送に該当しないものをいう。第百二十六条第一項において同じ。)若しくは多重放送に限り受信することのできる受信設備のみを設置した者については、この限りでない。
2 協会は、あらかじめ、総務大臣の認可を受けた基準によるのでなければ、前項本文の規定により契約を締結した者から徴収する受信料を免除してはならない。
3 協会は、第一項の契約の条項については、あらかじめ、総務大臣の認可を受けなければならない。これを変更しようとするときも、同様とする。
4 協会の放送を受信し、その内容に変更を加えないで同時にその再放送をする放送は、これを協会の放送とみなして前三項の規定を適用する。

2010年3月国会提出の「放送法等の一部を改正する法律案」第64条によれば、「協会の放送を受信することのできる受信設備を設置した者は、協会とその放送の受信についての契約をしなければならない」とされています。また、NHKの公式サイトにあるファイルは全て自動公衆送信され、これは法案で言う「放送」に該当することになります。公式サイトには音声ファイル(法案上はラジオ放送)以外のファイルも当然ありますから、そのファイルがあることを根拠として放送法64条の規定により受信契約を締結する必要があることになるでしょう。
実際に受信したかではなく、受信可能な設備であるかが問題ですから、やはりネットにつながる全てのPC・機器が、NHKの公式サイトに訪問可能であるとして「NHKの放送」が受信可能な受信設備となるのでしょうね。

2chでは、数日前に「テレビ離れ? インターネットから受信料とればいいじゃない。」と言うスレがたっており、その1曰く
『3月5日に閣議決定された通信と放送の融合に向けた放送法や電波法などの改正案に、インターネット接続に対してNHK受信契約を義務付ける条文が盛り込まれていることが判明した。現在の放送法ではインターネット接続しているPCに関しては、NHKとの受信契約を結ぶ義務は無いが、改正案ではこれらのPCも受信契約の対象となる。』
とされていました。スレの参加者の中にも釣りスレ扱いしていた方がいましたが、私が2010年3月国会提出の「放送法等の一部を改正する法律案」を読む限りは「インターネット接続に対してNHK受信契約を義務付けへ」で間違いなさそうです。

これは重大な変更点であり、「放送法等の一部を改正する法律案」の概要に「インターネット接続についても今回の法改正によりNHKと受信契約する必要が出てきます」と記載するべきと考えますが、実際には何も記載されていません。こっそり通して後で出すつもりなのでしょうか?

正直、まだ「本当かなぁ」と疑問に思っているところです。もし「そこが違うよ」というところがあればどんどんつっこんでいただければ幸いです。
(お返事が素早くできるかは別問題ですが)

変更点

2010年3月27日午前1時頃追記

『上記のことから、……含まれることになります。』の一文を修正。有線放送が現行の放送法に言う放送でないのは当然だよね。

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1: 事実をしりたい者 (2010/03/24 22:48)
始めまして今後ともよろしくお願いします。
5に「民法やその他法律を準用する」を追加してほしいところです。
2: nonki (2010/03/27 01:05)
事実をしりたい者さんへ
「放送法等の一部を改正する法律案」64条の話ですよね。
そのような記述は特にいらないと思います。現在でもそうですから。ただ、そのようなことに無知な受信料徴収員はいるかもしれませんがね。
3: 事実をしりたい者 (2010/03/30 22:25)
お返事。ありがとうございます。
話は変わりますがNHK側が言う「受信料は視聴の対価ではない」
しかし消費税(国内取引に掛る対価に税)は課税扱いです。
さてなんの対価で消費税が掛っているのか疑問に思っています。
http://www.nta.go.jp/taxanswer/shohi/6201.htm
http://www.shohi.com/news/news014.html
二条の五
http://www.gyosei.co.jp/home/pickup/3180019/zeiroku_horei/a330486001.html
4: nonki (2010/03/30 23:06)
消費税法第四条では、「国内において事業者が行つた資産の譲渡等には、この法律により、消費税を課する。 」とされています。
なお「資産の譲渡等」は、消費税法第二条第一項第八号にて定義されており「役務の提供に類する行為として政令で定めるもの」もその中に含まれます。
NHKの受信料は、消費税法施行令(政令)第二条第一項第五号にて「役務の提供に類する行為」として定義されています。

故に「役務の提供に類する行為」と政令で定義されていることが原因で消費税がかかっているというのが正しいです。
法律で「政令で決めていいよ」とされているのを受けて、政令で消費税を取る対象として定義したことが消費税がかかる原因ですから、「受信料が視聴の対価であるかどうか」は消費税の対象となるかどうかには無関係です。
5: nonki (2010/03/30 23:25)
ちなみに私は、少なくとも現行法上は「受信料は視聴の対価ではない」と考えています。視聴の対価であるならば、NHKの番組を再送信しているケーブルテレビの加入者が法律上NHKと受信契約を締結する必要が無い理由が説明できないからです。
NHKの受信料は、視聴の対価ではなく全国に等しく(民放も含めた)放送を広げるための負担金と考えるのが現行法上は合理的です。自己で有線放送の費用を負担しているケーブルテレビ受信者は、すでに放送を広げるための負担金に類すると考えられる有線放送への利用料を払っているため、NHKと受信契約を結ぶ必要がないわけです。
NHK受信料が視聴の対価ならば、有線放送局が再送信するNHK制作の番組を見ている人が受信料を支払わなくてもいいのはおかしいと思いませんか?(逆に言えば、今回の放送法改正案では「NHK受信料は視聴の対価」とすることになるのでしょう。)
6: nonki (2010/04/02 00:00)
http://slashdot.jp/comments.pl?sid=489284&cid=1737882
によれば、本改正案の放送にインターネットが含まれるならば、現行法上インターネットは(音声のみのファイルを除き)「有線テレビジョン放送」であるはずとのことのようです。定義上、公衆によつて直接受信されることを目的とする有線電気通信の送信で有線ラジオ放送をのぞいたものが有線テレビジョン放送ですから、確かに現在の状況を前提に条文を読むとそうなります。ただ、この部分は昭和47年の制定当時から条文に変更の無かった部分ですので、当時の状況(インターネットで公衆に送信などあり得なかった)を元に解釈するのが妥当かもしれませんね。
一方、今回の法案では放送の定義を書き直していますので、これは現在の状況(インターネットで公衆に送信はあり得る)を元に解釈するのが妥当と思われます。
なお、逆に今回の改正後もインターネットが「放送」に該当しないとするならば、同じくIP技術を使用してテレビ放送を再送信している「ひかりTV」などの受信者は改正案第六十四条の「再放送をする放送」の「放送」という要件に該当しなくなりそうなものですがどうなのでしょうかね。
7: 事実をしりたい者 (2010/04/11 18:28)
返信 遅くなってすいません。
私も視聴の対価ではないと思います。
「役務の提供に類する行為」で、どういう役務だろうと疑問に思います。
有線放送の場合(放送法に直接受信)で単純に契約不要となっていると当方は考えます。
インターネットが「放送」にあたらないとすると地上波だけではなく
衛星放送も海外経由(B-casサーバー設置)し配信で視聴できると思われます。
衛星契約者等に不満が出そうな感じですね。携帯のsim解放が先行し
わが国だけのB-casシステムの解放はどうなるのか今後の動向が気になります。
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