本記事では、「放送法を読みとく」と言う書籍を紹介します。
まず本記事の所属するbookカテゴリは、本を読んで簡単なメモを書いていくカテゴリです。本記事はそのbookカテゴリの19冊目となります。
「放送法を読みとく」は、はしがきによると30・40歳代の研究者・実務者で組織した「放送法研究会」の成果とのことです。12人の執筆者が分担して執筆した書籍であり、それぞれの執筆者が分担部分の責任を持つが、打ち合わせにより全体としての統一を図り体系書としての体裁を整えているそうです。
第1編・第2編の内容は、最後に記載している目次を見てもらえればわかるような項目についてなのですが、本書は基本的に放送の自由に関する興味関心が根本にあり、そのような方向から放送法を俯瞰したような書籍として仕上がっています。
放送の自由と言っても、国に放送内容について口出しされない自由を意味する「国家からの自由」だけではなく、放送事業者が偏った放送をした場合に国家が介入することで情報多様性を目指す「国家による自由」をも視野に入れた論考をしています。
もちろん、「国家による自由」は制度設計をきちんとしなければ単なる言論弾圧の手段となる可能性があることも触れられています。
第3編は、放送法の逐条解説です。執筆分担を見ると、第3編Ⅰ(1条、3条、3条の2)を書いている成城大学法学部の西土章一郎准教授以外の方は、全て日本民間放送連盟またはNHKに勤めたことのある方ばかりで、実務者に書いて頂いたのだろうと思います。
他にも「放送法を読みとく」の内容で触れたいことはありますが。それは別の記事に書くことにします。
再読する必要は?
放送法の逐条解説は、なかなかいいものであると思います。私にとって、必要に応じて読む価値がある本です。
タイトル: | 放送法を読みとく |
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著者: | 鈴木 秀美・山田 健太・砂川 浩慶=編著 |
出版社: | 商事法務 |
発売日: | 2009年7月 |
定価: | 3300円(+税) |
ISBN-13: | 978-4-7857-1664-6 |
目次: |
第1編 放送を取り巻く現状と系譜 I 放送とは何か--「放送」概念の変遷…………2 Ⅱ 日本の放送実態…………16 Ⅲ 放送法制の変遷…………34 Ⅳ 放送行政の変遷…………60 第2編 放送法制の全体像 I 放送の自由・総論…………92 Ⅱ 放送の自由・各論--番組編集準則を巡る憲法論…………105 Ⅲ 免許制度…………115 Ⅳ 放送を取り巻く諸制度…………130 Ⅴ 規制機関の国際比較…………153 第3編 放送法解説 I 総則(第1章)・放送番組の編集等に関する通則(第1章の2)…………172 Ⅱ 日本放送協会(第2章)…………212 Ⅲ 放送大学学園(第2章の2)…………280 Ⅳ 一般放送事業者(第3章)…………282 Ⅴ 受託放送事業者(第3章の2)・委託放送事業者(第3章の3)…………290 Ⅵ 認定放送持株会社(第3章の4)…………296 Ⅶ 放送番組センター(第4章)…………303 Ⅷ 雑則(第5章)・罰則(第6章)…………306 第4編 資料 I 放送法に関係する法令とそのURL…………318 Ⅱ 放送普及基本計画…………320 Ⅲ 電波法関係審査基準…………322 Ⅳ 地上デジタルテレビジョン放送局の免許及び再免許方針…………323 事項索引…………331 |