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[日記/2007/March]

なぜ今になって魔界大冒険のリメイク? / 2007-03-27 (火)

本当はもうちょっと前に書いていた記事なのですが、私的に色々と忙しかったので、本日公開となりました。

1984年に作られた 映画ドラえもん のび太の魔界大冒険 は、長編ドラえもんの中でも傑作のほうに入ると思うのですが、この作品は時代をよく反映していたのだろうと考えるわけです。当時は、「ノストラダムスの大予言」を「1999年に地球は滅びる」のような形で取り扱った書籍も結構売れてましたよね?(そういえばノストラダムスの大予言シリーズ書いていた五島氏は、今頃何してるんでしょうかね。)
魔界大冒険が映画公開される前年には、「ハルマゲドン接近」を宣伝文句に宇宙の消滅を企てる幻魔との超能力による戦いを取り上げた幻魔大戦がアニメとして映画公開されていますしね。

そういえば、手元にある小説版幻魔大戦の帯にあるアニメの宣伝文句は「角川初のアニメーション」となっています。今もやっている角川関連のアニメの原点は、映画の幻魔大戦ということになるのでしょうかね。なお、当時の角川書店の社長は角川春樹でした。1993年に薬やってたとかその辺の話で逮捕されて、角川書店の社長を退任しています。
脱線したついでにこのまま話を進めると、1998年に角川グループで製作された機動戦艦ナデシコのアニメ映画では、主人公主要登場人物の星野ルリの口から「草壁春樹、あなたを逮捕します」なんてセリフが出てくるのです。名前が春樹であることを意識して、わざと「逮捕」ってセリフにしたんだと勝手に思っているんだけど、考えすぎかなぁ?

さて、幻魔大戦の小説は、初めこそ映画と大差ない内容ですが、それが一段落した後の4巻から文芸部の部室でSOS団GENKENが活動をはじめ、それが新興宗教ぽい感じになっていき、学外団体になった上、10巻ぐらいになると「奇跡」でがん患者が完全治癒したりします。
一方、アニメのほうは銀河系外(だよね?)から来る幻魔と戦って勝ちましたみたいな話で終わりです。後、原作によれば主人公の東丈は美形らしいのですが、アニメのほうは・・・。まあ、実のところアニメの幻魔大戦はテレビかビデオで一回通しで見たかも怪しく、紹介もいい加減です。

幻魔大戦映画版の次の年に公開された魔界大冒険でも、時代の空気を反映してか満月博士が魔界接近説を唱えており、作中では実際に魔界が接近してきます。
魔界大冒険は、「ドラえもんのなかで幻魔大戦みたいなことをやったらどうなるか」を意識しつつ作られた部分もあるのではないかと思っています。幻魔大戦の原作までを意識するなら、時間移動に平行宇宙など、共通の要素がてんこ盛りになりますしね。さすがに新興宗教っぽい組織とかは出てきませんが、魔界大冒険には予知の目に勇者の姿を写させるようなそれこそ「勇者よ集え」みたいな感じの要素も入っていますし。

さて、よくわからないのは、なぜこのタイミングで魔界大冒険がリメイクされたのかです。1995年にサリンを地下鉄にばら撒いた麻原さんはともかく、1999年に「恐怖の大王」がいらっしゃるわけでもなく、21世紀も入って7年目。いまさら「ハルマゲドン」というご時世でもなかろうと思うのですが。
ハリーポッターなどの魔法もの人気に乗ったのでしょうか。確かに、ドラえもんで違和感なく魔法をぶっ放すには魔界大冒険の設定しかないでしょうし。それとも、ネタがないから過去の良作をリメークしてるだけですかね。謎です。


[日記/2007/March]

「おふくろさん問題」JASRACに飛び火? / 2007-03-11 (日)

「おふくろさん問題」は皆さんご存じでしょうが、簡単にまとめると、森進一さんが「おふくろさん」の歌詞の冒頭に、作詞家の川内康範さんの許諾を経ずに別の方に作ってもらった歌詞を付加してコンサート・紅白歌合戦等で歌ったことから、それを知った作詞家の川内康範さんが怒り、騒動になっているといった問題です。

ワイドショーなどによれば、「おふくろさん」作詞家の川内さんは、JASRACに対して森進一さんに歌を歌わせるなと申し立てたようです。(同じくワイドショーなどによれば、JASRAC側は、この件はJASRAC役員に対して私的にお手紙でお話があったのであって、JASRACへの正規の届出は無いとしているようです。)

私は、この話を初めに聞いたとき、JASRACが何と答えるかが見物でした。
なぜなら、今回の件に対し、JASRACが法的な立場をそのまま表明するならば、以下のように答えるのが正しいことになるはずだからです。

「特定の誰かに許諾しないような形態の契約は取り扱っていません。そのため、著作権料を払う限り、誰であっても使用可能です。著作人格権の問題は当方は関知しませんので、当事者間で解決してください。」

ところが、このような解答をすれば、作詞家の川内さんが怒ってJASRACから自分の曲を全て引き上げる可能性があります。場合によれば、JASRAC以外の音楽著作権管理団体に委託するかもしれません。
メジャーな楽曲について、JASRAC以外の音楽著作権管理団体が管理することは現在はあまりないようですが、このような事例を通して出てくると、他の曲でもJASRAC以外の団体が管理するようになるかもしれません。JASRACとしては、できれば避けたいことと考えるでしょう。

また、今回の川内さんの言い分(森進一氏には自分が権利を持っている曲の使用を許諾しないこと)を全面的に認めると、JASRACが各曲ごとに個別の条件を付ける前例ができることになります。他の作曲家、作詞家から、各曲ごとに個別の条件を付けるように求められたときに断るのは難しくなるでしょう。一度認めれば、金銭面でも個別の条件が主張される可能性がありますから、JASRACとしては避けたいと考えるでしょう。

このようなことから、この声明(「おふくろさん」のご利用について)の内容を初めにワイドショーで聞いたときは、「うまいこと逃げたな」と思ったものです。

後で、「おふくろさん問題」JASRAC見解の違和感。などを見て、著作人格権を管理していないJASRACが著作人格権について発言することに対する違和感を感じましたが、JASRACの至上命題は「曲を預かる条件を変えずに、作詞家の川内さんを怒らせない」ことなのでしょうから、まあ問題ないと認識しているのでしょう。
そもそも関係ないはずの著作人格権について発言したところで、著作人格権を所有する作詞家の川内さんの望む方向ですから、川内さんから苦情が来る心配は無いですし。また、森進一さんも、川内さんの許しがなければ歌わないと言っているようなので、そちらから問題となる事もないでしょうしね。

JASRACも色々と文句の言われる点のある組織ですが、JASRACが「特定の誰かに曲の使用そのものを許諾しない」という前例を作らなかったこと自体は評価してもいいと思います。JASRACが特定の人に曲の使用を許諾しない結果として、世間に知られた曲が歌えない人がいるというのは、一般的に考えるならば音楽文化の発展にいいこととは考えられないですからね。(著作者の許諾無く改変した曲を歌う件については、そもそもその曲が改変されたものであるかも含めて、別の方法で解決されるべき問題と考えます。)
まあ、「特定の誰かに曲の使用そのものを許諾しない」という前例を作らなかった動機の方は、JASRACの権益を守るためである可能性は強いのですが。