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[日記/2010/September]

さくらんぼ小学校問題に関する件 / 2010-09-11 (土)

ちょっと時流に乗り遅れている感もありますが、今日の話題は「さくらんぼ小学校」の件です。
山形県東根市に2011年4月に開校予定の東根市立小学校の名前をさくらんぼ小学校としたところ、同人でアダルトゲームを作成しているサークルの名前である「私立さくらんぼ小学校」とバッティングしているとしてニュースとなりました。

東根市側は9月9日付けで「市立さくらんぼ小学校」の名称を変更する予定としていますし、「私立さくらんぼ小学校」側も9月9日付で「先方様の学校のご意志が変わらぬようでございましたら、児童の安全を配慮し、サークル名の変更を視野に入れることも考慮しております。(子供や保護者の方々を不安にしてまで、名称を貫こうとは思っておりません)」としております。
これらのことから、今後どのように事態が進捗しても実在の学校名とアダルトゲーム作成をしているサークルの名称が一致したままとなることはないように思われます。

上記の話を聞いたときに、直感的に「同人サークルが小学校を名乗るのはまずかろう」と思ったものですが、法律的にはどのように考えるべきか気になりましたので調べてみました。

まず、「私立さくらんぼ小学校」は2002年以降名称を使い続けているようです。一方「市立さくらんぼ小学校」は2009年に学校の名称を決定したとのことですから、後から名称を被してきたのは東根市側となります。一般的に考えるならば、先に名乗っていた方が後から名乗る方に「同じ名前をつけられると混同されて迷惑だ」というのはありえるでしょうが、その逆は常識的に話として成り立ちにくいでしょう。

では、法律上の小学校でない団体が「小学校」と名乗るのに問題はないかです。私はこの点に違和感を持ちましたし、他にもそう考える方はいらっしゃると思います。
それでは学校教育法を確認してみましょう。

「学校教育法(昭和二十二年法律第二十六号)」より(抜粋)

第一条  この法律で、学校とは、幼稚園、小学校、中学校、高等学校、中等教育学校、特別支援学校、大学及び高等専門学校とする。

第百三十五条  専修学校、各種学校その他第一条に掲げるもの以外の教育施設は、同条に掲げる学校の名称又は大学院の名称を用いてはならない。
2  高等課程を置く専修学校以外の教育施設は高等専修学校の名称を、専門課程を置く専修学校以外の教育施設は専門学校の名称を、専修学校以外の教育施設は専修学校の名称を用いてはならない。

「学校教育法」より

学校教育法135条によれば、法律上で小学校として認められた以外の教育施設に「小学校」の名称を使用することはできません。逆に言えば教育施設ではない団体の名称に「小学校」が入っていても、学校教育法135条の条文上は問題ありません。

う~ん。これは法律の条文が悪いんじゃないのかなぁ。基本的には法律で「小学校」を名称中に使用できる団体を法律上小学校である団体に限っておいた方がよいように思います。
こう思うのには理由があって、例えば株式会社でない個人・団体が、その名称中に「株式会社」の名称を使用することは違法となっているのです。

「会社法(平成十七年法律第八十六号)」より(抜粋)

(商号)
第六条  会社は、その名称を商号とする。
2  会社は、株式会社、合名会社、合資会社又は合同会社の種類に従い、それぞれその商号中に株式会社、合名会社、合資会社又は合同会社という文字を用いなければならない。
3  会社は、その商号中に、他の種類の会社であると誤認されるおそれのある文字を用いてはならない。

(会社と誤認させる名称等の使用の禁止)
第七条  会社でない者は、その名称又は商号中に、会社であると誤認されるおそれのある文字を用いてはならない。

第八条  何人も、不正の目的をもって、他の会社であると誤認されるおそれのある名称又は商号を使用してはならない。
2  前項の規定に違反する名称又は商号の使用によって営業上の利益を侵害され、又は侵害されるおそれがある会社は、その営業上の利益を侵害する者又は侵害するおそれがある者に対し、その侵害の停止又は予防を請求することができる。

「会社法」より

上記の事から考えれば、法律上小学校でない団体に「小学校」を名乗らさないのは、混乱防止を考えると過剰ではない規制と考えます。(逆に言えば、今回のサークルさんが「私立さくらんぼ学園小学部」と言う名称でしたら、特に法律で要件を定めている小学校ではないですから、私は何ら問題点を感じなかったでしょう。)
名称を法規制すると、○○小学校PTA、○○小学校児童会などのように、小学校そのものと何らかの関係を持った団体の名称中に「小学校」が使用できなくなるおそれがあって、一律禁止も難しいのかな?とも考えたのですが、「○○小学校PTA」が小学校そのものではないことは明らかであると常識的に考えれば、上記の会社法に類似する規定にしておけば問題ないように思えるのですよ。

私としては、一般論としては法律の条文(学校教育法135条のあたり)を見直した方がよいのではないかと考えます。
個別の話としては、実在の児童やその保護者に迷惑のかからないようにしようとする点では両者とも同じ方向性のようですから、良い方向に解決するのではないかと考えています。

注意

本文書を書くに際し、特に専門書を調べたりはしておりません。法律の解釈に誤りのある可能性がありますので、ご了承願います。

変更点

2010年9月20日16時頃 追記

なぜ、『法律で「小学校」を名称中に使用できる団体を法律上小学校である団体に限っておいた方がよいように思』うのかについて、文中での説明が不足していたように思ったので、会社法を引用するなどしてその辺を追記した。

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