自民党 政務調査会首席専門員の田村重信氏が書かれた新憲法はこうなるを読了しました。
今までの日本の憲法改正に関する議論を大まかにはわかっていたので、序章まで読んだ後は、まず新憲法草案を見ました。
この新憲法草案は、自民党が2005年11月22日にまとめたもので、現行憲法を下部に書いて対照できるようにしてあります。この案の最大の注目点は改正要件引き下げでしょうか。
他の変更場所は、解釈が分かれていたため訴訟が多く起こされていた部分や、政治的に問題になっていた部分を修正・追加するというマイナーバージョンアップがほとんどです。(「一部」で大騒ぎの九条も、このような修正点の一つのような気もするのですがどうでしょうかね。)
後は、古い表現の修正とか、法の下の平等の具体例に「障害の有無」が入ったとかの、ちょっとした修正が入っています。
前文を入れ替えているのは、全面改正派に対する配慮もあるでしょうが、今後の日本国の方針をここで打ち出しているようです。
全面改正の方が、権力バランスを大きく変更できたりするなど魅力的なところもありますが、上記憲法草案が一部改正となっているのは、全面改正すると法的に安定するまでにある程度の時間がかかるからだろうと思います。
問題なく動いているところはさわらない方がよいとの考えもあり、このような一部改正になったのでしょう。(ちなみに、この考えを極限まで推し進めたのがイギリスでしょうかね。)
あとは、第六章のQ&Aを読んだ上、他の章は適当に読み飛ばしました。今までの日本の憲法改正に関する議論を追っかけたい人は初めから順に読めばよいと思います。
一つけちをつければ、第五章でアインシュタインの予言として知られている発言によく似たアインシュタインの発言を引用しているのはちょっと疑問です。(ちなみに、wikipediaに書いてあるところによれば、アインシュタインの予言はアインシュタインの発言ではないとの説が有力のようです。)
これを引用しているのは、「日本人は昔世界から尊敬されていた」と言う趣旨で、その具体例がアインシュタインの発言なのですが、具体例をあげるのであれば、どこでの発言(ないしは寄稿)なのかを明示できるものでお願いしたかったですね。
変更点
2006年12月26日 20時頃
本文中で、本の名前を間違えていたので修正。本当にゴメンナサイ。