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NHK 受信料・受信契約に関する記事一覧

(注意)2011年に放送法が改正されたので、それ以前のNHKに関する記載は現状にそぐわない可能性があります。

[NHK]

NHKの受信料制度の意図 / 2005-09-09 (金)

ケーブルテレビ局に加入して有線放送を受信している者は、放送法第32条第1項によりNHKとの受信契約締結義務はありません。
放送法第32条第1項によりNHKと受信契約締結義務があるのは、NHKの放送(無線通信の送信)が受信可能なことが前提となります。しかし、ケーブルテレビ局の加入者が受信可能なのはケーブルテレビ局の有線放送(有線通信の送信)であり、NHKの放送(無線通信の送信)でないので、受信契約締結義務が無いことになります。

ここでは、現在の受信料制度がどのようなことを目的として集められる費用であるか考えていくことを通して、ケーブルテレビ局の有線放送を受信している者がNHKの受信契約締結義務を負わないのは、現在の受信料制度の設計意図からして当然の帰結であることを説明します。

放送

放送というものは、テレビ・ラジオなどの受信機だけでなく、放送局(送信機)もないと成り立たないメディアです。
ところが、放送局を維持するのには費用がかかります。この費用はどこからか調達する必要があるわけです。そのためもあり、第二次世界大戦前は放送局をNHKのみとし、受信機を設置した者すべてから受信料を集めるというシステムにしたわけです。
この場合、放送局がNHKしかないので、受信機を所有することはNHKを見ることに等しく、NHKを維持するための費用を受信機を設置した者が払うことには合理的な理由があります。

第二次世界大戦後に民間放送局も許可されることになったのですが、民間放送局は設置したアンテナから電波の届く範囲に一定数以上の受信機がないと、広告などの収入が設備投資に見合った金額にならず、経営が成り立たないという特徴があります。これは、ラジオ放送と比べた場合に、電波の届く範囲が狭いテレビ放送にとってはとくに深刻な問題です。
しかし、昔はテレビは全て高価なものでしたし、今と違ってテレビゲーム・ビデオ・DVDはありませんから、テレビは放送を見るためにしか使えなかったのです。このため、放送が受信できない地域で受信機をあらかじめ買ってくれる人はほとんどいません。
人口密集地なら、はじめは赤字覚悟でアンテナを設置してテレビ放送を開始し、受信機の普及を待つ民間放送局も出てきたかも知れませんが、田舎などではいつまでたっても採算ラインにのらないと考えられてテレビ放送がされないことになりかねません。

そこで、既にあるNHKを有効に活用することにしたわけです。
人口密集地で集めた受信料で、今まで電波の届かなかったところに送信用アンテナを設置し、電波の届くところに変えていきます。NHKの電波が届くようになれば、テレビを設置する人も出てくるでしょうから、民間放送局も経営が成り立つ地域に変わっていきます。その結果として民間放送局が設立されやすくなり、日本国中で多くの放送局の放送を見ることができるようになっていきます。また、NHKと民間放送局が同じ鉄塔を共用すれば、民間放送局の鉄塔の維持費が少なくなり、民間放送局が参入しやすくなる結果として多くの地域で民間放送を見ることができるようになるでしょう。
つまり、NHKにお金を払うことで、受信者は直接的にはNHKに払っているが、間接的に民間放送局も含めた送信施設を維持することに寄与すると考えられたわけです。

NHKの放送を受信可能な受信機を設置していれば、NHKを見ない人でも受信契約を締結する必要があると法律で定められているのには、このような理由があるのです。(なお、受信契約を締結すると、受信契約により受信料を払う義務があることになります。)
ですから、法律上もNHKの説明も、「NHKの受信料は、視聴の対価として請求されるものではない」ということになるわけです。現在の受信料制度の設計意図からすると、例え民間放送局しか視聴しない者であっても、NHKを核として作られた民間放送局も含めた送信施設を普及・維持するための秩序である受信料制度から恩恵を受けていることになります。
このため、NHKの視聴の有無にかかわらずNHKにお金を払って送信施設の維持に寄与してもらう必要があることになり、法律でNHKとの受信契約締結義務を課しても問題ないと考えられたわけです。

テレビが普及した現在もこの考え方が妥当かといわれると疑わしいところはあるのですが、法律はこのような考えで設計されているわけです。

有線放送

ところが、有線放送(ケーブルテレビ)となると事情が変わってきます。

最近は、放送が鮮明に受信できるところでもケーブルテレビ局が設立されているようですが、昔は、放送が受信不可能であったり、可能であっても受信状態が悪い地域に設立されることが多かったわけです。
この場合、NHKは上記に掲げた核としての役割を果たすことなく、NHKや他の民間放送局の放送を再送信するケーブルテレビ局がNHKや民間放送局を見ることができるようにするための直接的な役割を果たすことになります。
なぜなら、ケーブルテレビの加入者は、当然ケーブルテレビの使用料を払うのですが、この費用はケーブルテレビ局の送信設備、ケーブル等の維持費用などにあてられます。つまり、ケーブルテレビ加入者は、送信設備の維持費用を直接的に払って各放送局の番組を見ることができるようにしていることになります。NHKは、このような地域では各放送局の番組を見ることができるようにするためには何の役割も果たしていません。

ここで、有線放送の場合にもNHKとの受信契約締結を法律で義務づけると、送信設備の維持に使用される費用を二重に払うように強要することになり不合理です。このため、有線放送の場合に法律上受信契約締結が義務づけられていないのは合理的と考えることができます。

追記

2005年9月9日22時20分頃 いろいろと修正

参考資料・法令等

ケーブルテレビとNHK受信料(これは当サイトの記事です)

放送法
有線テレビジョン放送法

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1: nonki (2005/11/30 22:17)
もうちょっと書き加えた文章を、
(改訂版)NHKの受信料制度の意図(http://nonki.ffvv.net/NHK/n200510102215.htm
として公開しているので、必要に応じて参考にしてください。
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