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ケーブルテレビ(CATV)加入者は、NHKの受信料を払う必要はありません。

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放送法等の一部を改正する法律案が閣議決定 / 2010-03-07 (日)

平成22年3月5日(金)の定例閣議にて「放送法等の一部を改正する法律案」が閣議決定されました。
ニュースでも報じられましたが、「NHK会長選びが円滑になる」「放送と通信に関連する法律を統合して電波をより有効活用できる」「メディア出資規制を法定化」などが報じられています。しかし、私的には新聞猛反発の「クロスメディア規制」「制度のあり方を検討」(J-CASTニュース)にマスコミ関係者に配られたと思われる資料をPDF化した「放送法等の一部を改正する法律案の概要」をアップロードしてくれていたのが一番うれしかったり。

この資料を見ると、放送法の改正事項として以下の通りの記載があります。

第一 放送法の一部改正関係
一 定義に関する事項
1 放送の定義を、公衆によって直接受信されることを目的とする電気通信(電気通信事業法第二条第一号に規定する電気通信をいう。)の送信(他人の電気通信設備(同条第二号に規定する電気通信設備をいう。以下同じ。)を用いて行われるものを含む。)とすること。
2.放送事業者の定義を、機関放送事業者及び一般放送事業者とすること。
3.その他の定義規定の整備をすること。

2010年3月の「放送法等の一部を改正する法律案の概要」より引用

今回は思い切って大改正に踏み切るようで、法律上の用語の定義部分から手を入れることになっているようです。上記1で、ケーブルテレビ受信者がNHKと受信契約する義務がない理由の一つ「有線放送は放送ではない」が消失する可能性が大きいですね。
私は従来より費用負担の面から考えて「有線放送は放送ではない」ことを理由にNHKと受信契約を締結する義務がないのは合理的であると考えています。つまり、NHKに対し受信料を負担するのも、有線放送加入者がケーブルテレビ会社に費用負担をするのも、社会全体に放送(含む有線放送等)をあまねく広げるという放送法等の趣旨を貫徹するために必要となる費用を誰からどのようにどの組織に対して集めるかという問題であるからです。
私の考えるところでは、NHKの受信契約が受信意志等に関わりなく契約を義務づけられているのは、「NHKに対して払う受信料は社会全体に放送をあまねく広げるために必要となる料金なのであって、番組に対する対価ではない」からです。逆に言うと「社会全体に有線放送等をあまねく広げるために必要となる料金をケーブルテレビ受信料として負担している有線放送加入者は、重ねて同種の料金であるNHK受信料を払う必要はない」と考えています。

あとは「その他の定義規定の整備をすること」の内容次第でいろいろな部分に影響が出るはずです。今度の改正案で、NHKの受信料制度について首尾一貫した姿を維持できるのか、どのように変化するかも要注目です。

今のところは特に賛否を述べず、内容が固まった法律案を見せていただくことにしましょう。これからが楽しみです。

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衛星セーフティネット参加者のNHK受信契約について / 2009-08-12 (水)

本記事では、書籍「放送法を読みとく」の記述を元に、NHK受信契約について考えます。(参考:当サイト内の「放送法を読みとく」紹介記事

受信料の対象は、NHKの放送を受信できる受信設備である。テレビのチューナー付きパソコンも受信料の対象となる。携帯電話のワンセグも、地上デジタルテレビジョン放送の1セグメントを利用した放送であり、その受信機は受信料の対象である。他方、2009年度から地上デジタルテレビ放送の放送衛星利用による難視聴解消(「衛星によるセーフティネット」)が始まる。NHKの地上テレビ(総合・教育)も放送されるが、実施主体は社団法人デジタル放送推進協会(Dpa)であり、NHKも民放も番組提供者(6条の再放送)に過ぎない。NHKの放送でない以上、衛星セーフティネットの受信者は特別契約による受信料しか払わなくてよいことになるが、特段の措置はとられていない。

放送法を読みとく 第3編Ⅱ 258-259ページより引用

ちなみに、「放送法を読みとく」の日本放送協会に関する第3編Ⅱは、NHK勤務時に主として放送制度を担当していた山本博史氏が執筆されています。(1950年生まれ。1975年に東京大学法学部を卒業してNHKに勤める。NHKでは主に放送制度を担当し、2005年に総合企画室業務主幹で退職した。2009年現在はメディア評論家、上智大学非常勤講師、専門はコミュニケーション制度論。)
なお、「放送法を読みとく」は、大阪大学大学院高等司法研究科の鈴木秀美教授、専修大学文学部の山田健太准教授、立教大学社会学部メディア社会学科の砂川浩慶准教授のお三方が編者として纏められたものになっております。

受信料の対象は

まずは、上記引用部から受信料の対象について見ていきたいと思います。
NHKの放送を受信できる受信設備と記載し、テレビのチューナー付きパソコン・携帯電話のワンセグなども取り上げていますが、実はケーブルテレビは対象と記載されていません。2009年7月に出版している本ですから、当然ケーブルテレビが対象になるかどうかの議論があることは承知のことと思いますので、特に受信料の対象となるかどうかを明記して頂ければさらにありがたいのですが、この場合は記載されていない原因が受信料の対象外であるからと考えるのが正しいと思います。

なぜなら、引用部分の後の方に記載している衛星セーフティネットに関する記述では、法律上その放送を行うのが誰かまでを追求した上で受信料の対象となるかどうかを判断しており、この考えを敷衍すればケーブルテレビも受信料の対象外となるのは明らかであるからです。
このようなことから、まずは衛星セーフティネットに関する記述の詳細を見ていきます。

衛星セーフティネット参加者の受信契約について

衛星放送は法的に結構ややこしいので、一つずつ段階を追って説明していきます。

通常の衛星放送受信時は、以下の図1の通りとなります。
ここで、各家庭で受信するときには以下図1でわかるようにB-SAT(放送衛星システム)のTV放送(*2)を受信します。これはNHKの放送ではないので受信料を払わなくて良いかと言えばそうではありません。
なぜなら、NHKの委託により行われる受託国内放送であるB-SATのTV放送(*2)は、放送法第2条の2第2項2号にて「協会の放送(協会の委託により行われる受託国内放送を含む。第三十二条第一項本文において同じ。)」とされているため、放送法32条1項本文の「協会の放送」に含まれるからです。

ところが2011年のアナログ放送終了後も地上デジタル放送が受信できない世帯に対して衛星を利用した再送信を行う計画である衛星セーフティネットは、以上とは事情が異なります。この場合は、以下の図2の通りとなります。
ここでは、各家庭で受信するときには以下図2でわかるようにB-SAT(放送衛星システム)のTV放送(*5)を受信します。これはNHKの放送ではありません。また、B-SATのTV放送(*5)はDpa(デジタル放送推進協会)の委託により行われる受託国内放送であり、協会の委託により行われる受託国内放送ではありません。また、DpaのTV放送(*4)は、NHKのTV放送(*3)を放送法6条により再放送したものですので、番組内容はNHKのものと一致しますが、NHKは単に番組を提供しているにとどまりますのでDpaのTV放送(*4)はNHKの放送ではありません。結果として、放送法32条1項本文の「協会の放送」ではないことになります。
協会の放送でないことから、衛星セーフティネットについては受信料を支払う必要はありません。

ただし、衛星セーフティネットを受信できる設備を持っている者は、通常の衛星放送も受信できることから、NHKのBS衛星放送に関する受信契約を締結する必要が出てくるでしょう。
結果として、衛星セーフティネットの対象者が日本放送協会放送受信規約にて受信契約を締結した場合は、NHKの地上波TV放送と同一の番組(正確には東京地方の番組)を見ることができるのですが、NHKの地上波TV放送は受信できないことから、地上系によるテレビジョン放送の自然の地形による難視聴地域において衛星系によるテレビジョン放送のみの受信する場合の料金体系である「特別契約」になり、料金もそれに従ったものとなります。

これが、上記引用部分の「他方」から始まり引用部分最後までの記述を丁寧に解説したものです。

上記の議論をケーブルテレビに応用すると

ケーブルテレビに加入した場合は、以下の図3の通りとなります。
ここでは、各家庭で受信するときには以下図3でわかるようにケーブルテレビ局の有線放送(または有線役務利用放送)(*7)を受信します。これはNHKの放送ではありません。またケーブルテレビ局の有線放送または有線役務利用放送(*7)は、NHKのTV放送(*6)を有線テレビジョン放送法13条(または電気通信役務利用放送法12条)により再送信したものですので、番組内容はNHKのものと一致しますが、NHKは単に番組を提供しているにとどまりますのでケーブルテレビ局の有線放送(または有線役務利用放送)(*7)はNHKの放送ではありません。結果として、放送法32条1項本文の「協会の放送」ではないことになります。
協会の放送でないことから、ケーブルテレビについては受信料を支払う必要はありません。

よって、ケーブルテレビを通じてNHKの番組を見ている者は、協会の放送を受信不可能な受信設備を設置していることになり、放送法第32条1項による受信契約の締結義務は発生しません。(別途アンテナも立て、放送も受信できるようにしている場合は除きます。)

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NHK受信契約の成立について / 2009-07-30 (木)

はじめに

まずは、2009年7月28日に、東京地裁でNHKと受信契約を締結した者に対して受信料を支払う必要があるとされた判決についてです。まあ、控訴する方がいるようですので判決が確定したわけではないようですが。
判決文がどのようなものであったかは現在手元にないので知りませんが、新聞各紙の報道により概要はわかると思います。

NHK受信料不払い、男性2人に支払い命令(2009年7月28日 読売新聞)では、裁判長は「NHKのテレビ番組を実際に視聴するか否かにかかわらず、支払い義務は発生する」と述べたとのことです。

NHK受信料未払いはダメ!東京地裁「自由意思で契約、解約できた」(産経新聞2009年7月28日)では、裁判長より「男性らは自由な意思に基づいて受信契約を結んでおり、解約の方法も事前に知ることはできた」と指摘があったとのことです。

NHK受信料:合憲、2人に全額支払い命令--東京地裁(毎日新聞2009年7月29日東京朝刊)では、『判決は、NHKを巡る問題を理由に受信料を支払いたくないとする2人の主張を「一つのものの見方として尊重されなければならない」とした。しかし(1)本人や家族が02~03年、自主的に契約を交わした(2)04年3月まで支払いを続けた(3)解約には受信機の廃止が必要だと事前に知り得た--などから「(契約や契約継続は)2人の思想良心の自由を侵害していない」とした。』とのことです。

以上から判決を簡単に要約すれば、「自由意志でNHKと受信契約を結んだ以上、それ以降については民法の原則に従って両者は契約に拘束される。憲法上の問題とはならない」とのことでしょう。
結果としては、NHKが自分の納得いく体制になる(なおかつそれが永続すると確信が持てる)までは契約しないのが最善と解釈せざるを得ない判決ですが、元からそのような見解である私としては「やっぱり」の感想しか浮かびませんでした。

契約の取り消し

さて、上記判決にも示されている通り、NHKと受信契約を結ぶのは「自由意志」なので、真に自由意志ではなく勧誘員の強引な手法で「契約」してしまった場合は取り消したりできる場合があります。
例えば、NHKとの受信契約は取消しできないか(NHK22)などが参考になると思います。
『消費者は、事業者の不適切な行為(1 不実告知、断定的判断、故意の不告知、2 不退去、監禁)により自由な意思決定が妨げられたこと(1 誤認、2 困惑)によって結んだ契約を取消すことができます』とのことです。

よって、「契約と知らずに」「契約内容の説明がされず」などの事実があれば「故意の不告知」であることが、「しつこかったので」などの事実があれば「不退去」であることが、消費者契約法の取り消し理由に相当します。
なお、受信契約は「特定商取引に関する法律(旧訪問販売法)」の対象ではないため、クーリングオフの対象とはならないようです。

本論

引っ越してきたばかりで「実はラジオは持っていてもテレビを持っていない」などの場合に、ラジオの設置者(ないしその配偶者)が「ラジオでも受信料が必要と誤解」して十分に検討せずに日本放送協会放送受信規約による契約を申し込んでしまうこともあるでしょう。
この場合、ラジオに受信契約が不要であることを説明しなかったのが「故意の不告知」に該当するかは難しいところです。

しかし、この場合は日本放送協会放送受信規約の第4条が味方となります。

日本放送協会放送受信規約

(放送受信契約の成立)

第4条 放送受信契約は、受信機の設置の日に成立するものとする。

2 放送受信契約の種別の変更の日は、その変更にかかる受信機の設置の日またはその廃止に伴う前条第2項の提出があった日とする。

つまり、日本放送協会放送受信規約による受信契約は、「受信機の設置の日に成立する」契約です。そのため、他の法的関係がいかなるものであっても、受信機を設置していないにもかかわらず契約が成立することはありません。
なお、受信機は「家庭用受信機、携帯用受信機、自動車用受信機、共同受信用受信機等で、NHKのテレビジョン放送を受信することのできる受信設備をいう。」と日本放送協会放送受信規約1条2項で定義されていますから、ラジオしか所有していない方は受信機を設置していないことは明らかです。
よって、受信機を設置していないことから契約が成立しないことがわかります。

ただし、このまま放置していますと、既に受信機が設置されていると誤解して契約が成立したと認識しているNHKから受信料を催促されることになります。
そこで、契約が成立しないことを認識次第、NHKに「受信機を設置していないので契約は成立していない」と言う必要があるでしょう。

ちなみに上記の地裁判決について報道されている内容から推測すると、受信契約が拘束力を持つには、単に受信機を設置するだけでなく、さらに自由意志で契約に合意することも必要とされるようです。
契約に合意していない人に対して「放送受信契約は、受信機の設置の日に成立するものとする」と言っても、それはNHKの独り言にすぎないですから、自由意志で契約に合意する必要があるのは当然ですね。

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会社支給のワンセグ携帯とNHK受信料の支払いについて / 2009-07-10 (金)

今日は、会社から支給された携帯電話がワンセグ携帯であった場合に、NHKの受信料はどのような扱いになるのかです。

放送法

第三十二条  協会の放送を受信することのできる受信設備を設置した者は、協会とその放送の受信についての契約をしなければならない。ただし、放送の受信を目的としない受信設備又はラジオ放送(音声その他の音響を送る放送であつて、テレビジョン放送及び多重放送に該当しないものをいう。)若しくは多重放送に限り受信することのできる受信設備のみを設置した者については、この限りでない。

とりあえず、個人所有の携帯電話にワンセグ受信機能がついている場合は、ワンセグ携帯とNHK受信料の支払いについてを参照してください。

まず、「NHKのテレビジョン放送を受信することのできる受信設備」を設置したのは誰かが重要です。なぜなら、放送法32条では受信設備を設置した者が放送の受信についての契約をしなければならないとされているからです。

会社支給のワンセグ携帯を受信機として使用できるように設置した者は、間違いなく会社です。会社支給のワンセグ付携帯を受け取っている社員ではありません。
例え、使用している社員自身が、携帯電話の業者から会社に送られてきた携帯電話の梱包をはずして電話機として使用できるようにする作業を行っていたとしても、これは会社の業務を会社の従業員たる社員が行っただけであり、その社員個人が受信機を設置したのではありません。
ですから会社支給のワンセグ付携帯を利用している社員は、自身で受信契約を結ぶ必要はありません。

では、ワンセグ携帯を支給した会社が、それを理由としてNHKと受信に関する契約をする必要があるかどうかですが、これは通常必要ありません。なぜなら、通常の会社であれば、ワンセグ付携帯であっても電話として使用することを目的に渡すのであって、テレビを見ることを目的として渡すわけではないからです。
会社が電話を選ぶ際は、通常であれば電話連絡を取ったり、GPS携帯で社員の場所情報を取得することを目的に機種を選ぶのであって、ワンセグ機能でテレビ放送を受信することを目的に機種を選んだのではなかろうと言うことです。すると、放送の受信を目的としない受信設備ですから、放送法32条により受信契約を締結する必要がありません。

ただし、例えばテレビ番組制作会社が、移動中もテレビを見て番組研究をすることを目的に渡したなど、放送の受信を目的とした受信設備なのであれば、放送法32条により会社は受信契約を締結する必要があることになります。

おまけ

私は、会社から携帯電話を支給されていません。幸いなことに

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NHKで法律違反といえば / 2009-05-24 (日)

本来は、明日こそ最速サンテレビを見よの後には、アニメ 涼宮ハルヒの憂鬱特集記事を載せる予定だったのですが、法律違反と自業自得 - 新世紀のビッグブラザーへ blogの記事に触発されてNHK関連に変更です。

放送法3条の2

前提として、放送法3条の2では国内放送の放送番組の編集に当たって「政治的に公平であること」「報道は事実をまげないですること」「意見が対立している問題については、できるだけ多くの角度から論点を明らかにすること」などが求められています。
しかしながら、上記記事(法律違反と自業自得 - 新世紀のビッグブラザーへ blog)によれば一方的な視点で編集された番組が放映されたとして問題視され、意見広告の掲載に至ったようです。なお、放送法3条の2に反した場合どうなるかという問題ですが、電波法76条によれば無線局の運用の停止、登録の停止、免許の取消等を行うことができることになっています。

実際、過去には放送法3条の2に違反をしたと見られた東京の放送局に対して「放送局の免許を取り消せ」と主張しているデモもあったと記憶しています。しかし、「免許の取消等を行うことができることになっています」というのには理由があって、実際にそういう問題が起きたときに処分できるかと言えば難しいわけです。
まず、表現の自由に関係する憲法上の問題から放送法3条の2を訓示規定や倫理規定と解釈して、直接の処分の用件とはならないとする学者がそれなりの数いること。もう一つは、先の主張が原因の一部となりますが、実際に放送局に免許の停止処分をした場合にはよほどの原因がなければ野党は攻撃材料にするでしょうし、マスコミからも総攻撃を食らうなど政治的に大きな問題となることが予想されますから、「放送法3条の2に反する放送」が事実としてあった場合でも総務大臣は免許の取り消しまで踏み切ることは難しいでしょう。

放送法3条

さて、例えばNHK番組改変問題について放送法第三条の「放送番組は、法律に定める権限に基く場合でなければ、何人からも干渉され、又は規律されることがない。 」に違反して介入されたとする立場の人々がいます。(なお、放送法3条に反した場合にどうなるかという問題ですが、電波法76条によれば無線局の運用の停止、登録の停止、免許の取消等を行うことができることになっています。)
ただし、「このような立場の方々」は「介入したのは政権関係者」との立場ですから、当然総務大臣による免許の取り消し等は考えません。しかしNHKに自己の主張を反映させるのが難しいことは先の免許の停止を求めている人々と変わりません。

そこで、「このような立場の方々」から最近聞かれるのが「受信契約は双務契約であり、NHKは放送法にもとづいた放送をおこなう義務がある」との主張です。つまり、介入された放送がされればその分の受信料は払う義務がないとする主張です。
しかし、日本放送協会放送受信規約では、NHKは月の半分以上テレビジョン放送を送信しなかった場合に受信料を徴収しないとしているだけです。放送の有無については言及されていますが、その内容に関しては何ら言及がありません。例え、放送内容が放送法3条に反して政治介入された放送であろうが、放送法3条の2に反して政治的に公平でなかったり事実を曲げたり偏った視点からのみ編集された放送であろうが、日本放送協会放送受信規約の上では問題ない放送であると考えるべきでしょう。
私は、現在の「受信契約は双務契約であり、NHKは放送法にもとづいた放送をおこなう義務がある」との主張は、「発想に見るべき点はあるものの筋の悪い方法」と思っています。

受信契約

もし、私がNHKに放送法に従った放送をするようにしてほしいと思う受信設備設置者であれば、「受信契約を使う」と言う発想だけを借りて、受信契約を締結する前に日本放送協会放送受信規約に以下の条文が追加された契約を受信契約として締結することを求めます。(以下は一例です。詳細は検討する必要があるでしょう。)

(NHKの義務違反)
第12条の3 NHKが次の各号の1に該当するときは、所定の放送受信料を返金するほか、その2倍に相当する額を割増金として返金しなければならない。
 (1)受信契約の締結および放送受信料の集金について不正があったとき
 (2)放送内容について放送法に従っていない部分があると当該放送受信契約者が認定した場合
2 前項に定める所定の放送受信料とは、前項各号の問題点が発生した日以降、改善されるまで(放送内容については訂正放送を流すなどの方法で改善されたと当該放送受信契約者が認定するまで)の期間に相当する受信料とし、1月未満の期間は1月として計算する。

そもそも放送事業者は電波法や放送法を始めとする法令を守って放送を行っているはずです。その元来守っているはずの放送法を受信契約で守るように求めるだけの契約をNHKが認めないと言うことがあれば、それは「NHKは放送法を守りません」と言っているに等しいわけで納得できませんよねぇ。
また、2倍の割増金を払うのは、日本放送協会放送受信規約では放送受信契約者が義務違反をした場合に行われていることで、それをNHKにも敷衍しただけですから特に不当な規定とは言えないでしょう。

もちろん、NHKが上記の受信契約の締結を拒否すれば受信契約は締結できないことになります。これは、NHKは締結する受信契約の内容については総務大臣の許可を要するものの、受信設備設置者と受信契約を締結する義務がない[1]ことによります。

このとき、受信設備設置者は受信契約の内容に関しては法律上全く制限されていない[2]ことと、民法により両者の意志が一致しなければ契約は成立しないことから、結果として受信契約は締結されないことになります。後は、契約の自由に関係する憲法上の問題から放送法32条を訓示規定や倫理規定と解釈することも可能かもしれませんが、その辺は私詳しくないのでふれません。

もしこの状況が不都合で、このように意見がまとまらない場合でも受信契約を締結させる必要があると国が考えていたのであれば、受信設備の設置者が裁判所に申し立てると裁判所がそれぞれの事情を勘案してふさわしい契約を認定し、強制的にNHKとの契約関係を成立させるような法制度を考えていたでしょうが、現在のところそのような制度はありません。

NHKで法律違反といえば(私見)

NHKで法律違反と言われたときにすぐに浮かんだのが以下事項です。放送内容とは関係ないかもしれませんが、早急に是正する必要はあると思いますがどうなんでしょうかね。

・池田信夫氏などが言われていた放送法9条9項違反(B-CASをつけない放送受信用機器を排除しようとしている)

・「放送法違反」といえるかは微妙ですが法律違反になるネタとしては、有線放送(ケーブルテレビ・CATV)受信者は受信契約を締結する義務がないのに偽った説明をして受信契約を集めている[3]として「ケーブルテレビ2000万世帯をだます日本最大の詐欺集団」として訴えていくのも良いでしょう。
ケーブルテレビから受信料を取っているのは、ラジオの聴取料があった時代に有線ラジオにおいて官僚の答弁で聴取料が取れるとした答弁があるからですが、これは大学教授などの学者は誰も認めていない(少なくとも今現在の私は、有線放送についても受信契約を締結する必要があることを認めた書籍を発見していない)ことからわかるように、誠にうさんくさい話なのです。
答弁した官僚自身が書籍を発刊しているのですが、会社法関係の書籍は数冊出しているが放送法関連の書籍はないとか、放送技術に関する書籍のみ発刊しているとかで、そもそも放送法関連の法律を十分理解して答弁していたかどうかから疑わなければならない有様です。
では、放送法をわかっている方はと見れば、国会審議でも参考にされる「放送法制の課題」にはそもそも有線放送を受信する受信設備設置者が受信契約を締結する義務があるかどうかについては記載されていません。日本放送出版協会から発行されたNHK出身の方が書いた「新・放送概論―デジタル時代の制度をさぐる」にすら有線放送を受信する受信設備設置者が受信契約を締結する義務があるかどうかについては記載されていないのですから徹底しています。一方、筑波大学大学院 人文社会科学研究科 憲法学専攻の教授が書いた、「NHK受信料は拒否できるのか」では、ケーブルテレビ加入者から受信料は取れないとしています。

注釈

[1]少なくとも現行法上は、受信設備設置者がNHKの言う日本放送協会放送受信規約に基づく契約を申し込んでも受信契約を結べない可能性がありますし、実際に受信契約の締結を受信設備設置者(又は関係者)が求めているにもかかわらず、NHKが締結しなかったこともあります。
テレビ番組録画サービス「録画ネット」を巡る法的議論 によれば、

実際、春日氏(録画ネット運営元の有限会社エフエービジョン顧問弁護士:引用者注)によれば、放送局側が仮処分申請を行なう前(2003年10月ごろ)から受信料の支払いなどについてNHKと交渉を行なっていたが、当初はほとんど放置状態だったという。しかし、2004年6月になって急に「アテネ(五輪)が始まるから困る」とNHKから連絡があり、その後間もなくサービス停止を求める内容証明郵便が送られてきたという。

NHKに受信機器設置者と受信契約を締結する義務があるのであれば、このような場合にも受信契約を断ることはできないはずです。なぜなら録画ネットのサービスが著作権法違反であろうとも、受信設備が設置されていることには違いないからです。
実際はNHKには受信機器設置者と受信契約を締結する義務がないので、NHKは著作権法違反の訴訟のみを行い、受信契約の締結は行わなかったわけです。

[2]受信契約の内容に関して総務大臣の許可を要するのはNHKだけです。
つまり、NHKが当該の受信設備設置者とどうしても契約を結ぶ意志があれば、受信設備設置者の提案した受信契約をNHKから法務大臣に認可申請して許可をもらえばよいのです。

[3]要するには放送法32条は有線放送には適応されないと言うことです。当サイト内の以下記事を参照願います。
 ケーブルテレビとNHK受信料
 ケーブルテレビと受信料に関するNHKの主張の誤り(上記記事の説明を補完しています)
 マンションにおけるNHK受信契約・受信料について
 NHK受信料は拒否できるのか(書籍紹介の記事)

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