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NHK 受信料・受信契約に関する記事一覧

[NHK]

衛星セーフティネット参加者のNHK受信契約について / 2009-08-12 (水)

本記事では、書籍「放送法を読みとく」の記述を元に、NHK受信契約について考えます。(参考:当サイト内の「放送法を読みとく」紹介記事

受信料の対象は、NHKの放送を受信できる受信設備である。テレビのチューナー付きパソコンも受信料の対象となる。携帯電話のワンセグも、地上デジタルテレビジョン放送の1セグメントを利用した放送であり、その受信機は受信料の対象である。他方、2009年度から地上デジタルテレビ放送の放送衛星利用による難視聴解消(「衛星によるセーフティネット」)が始まる。NHKの地上テレビ(総合・教育)も放送されるが、実施主体は社団法人デジタル放送推進協会(Dpa)であり、NHKも民放も番組提供者(6条の再放送)に過ぎない。NHKの放送でない以上、衛星セーフティネットの受信者は特別契約による受信料しか払わなくてよいことになるが、特段の措置はとられていない。

放送法を読みとく 第3編Ⅱ 258-259ページより引用

ちなみに、「放送法を読みとく」の日本放送協会に関する第3編Ⅱは、NHK勤務時に主として放送制度を担当していた山本博史氏が執筆されています。(1950年生まれ。1975年に東京大学法学部を卒業してNHKに勤める。NHKでは主に放送制度を担当し、2005年に総合企画室業務主幹で退職した。2009年現在はメディア評論家、上智大学非常勤講師、専門はコミュニケーション制度論。)
なお、「放送法を読みとく」は、大阪大学大学院高等司法研究科の鈴木秀美教授、専修大学文学部の山田健太准教授、立教大学社会学部メディア社会学科の砂川浩慶准教授のお三方が編者として纏められたものになっております。

受信料の対象は

まずは、上記引用部から受信料の対象について見ていきたいと思います。
NHKの放送を受信できる受信設備と記載し、テレビのチューナー付きパソコン・携帯電話のワンセグなども取り上げていますが、実はケーブルテレビは対象と記載されていません。2009年7月に出版している本ですから、当然ケーブルテレビが対象になるかどうかの議論があることは承知のことと思いますので、特に受信料の対象となるかどうかを明記して頂ければさらにありがたいのですが、この場合は記載されていない原因が受信料の対象外であるからと考えるのが正しいと思います。

なぜなら、引用部分の後の方に記載している衛星セーフティネットに関する記述では、法律上その放送を行うのが誰かまでを追求した上で受信料の対象となるかどうかを判断しており、この考えを敷衍すればケーブルテレビも受信料の対象外となるのは明らかであるからです。
このようなことから、まずは衛星セーフティネットに関する記述の詳細を見ていきます。

衛星セーフティネット参加者の受信契約について

衛星放送は法的に結構ややこしいので、一つずつ段階を追って説明していきます。

通常の衛星放送受信時は、以下の図1の通りとなります。
ここで、各家庭で受信するときには以下図1でわかるようにB-SAT(放送衛星システム)のTV放送(*2)を受信します。これはNHKの放送ではないので受信料を払わなくて良いかと言えばそうではありません。
なぜなら、NHKの委託により行われる受託国内放送であるB-SATのTV放送(*2)は、放送法第2条の2第2項2号にて「協会の放送(協会の委託により行われる受託国内放送を含む。第三十二条第一項本文において同じ。)」とされているため、放送法32条1項本文の「協会の放送」に含まれるからです。

ところが2011年のアナログ放送終了後も地上デジタル放送が受信できない世帯に対して衛星を利用した再送信を行う計画である衛星セーフティネットは、以上とは事情が異なります。この場合は、以下の図2の通りとなります。
ここでは、各家庭で受信するときには以下図2でわかるようにB-SAT(放送衛星システム)のTV放送(*5)を受信します。これはNHKの放送ではありません。また、B-SATのTV放送(*5)はDpa(デジタル放送推進協会)の委託により行われる受託国内放送であり、協会の委託により行われる受託国内放送ではありません。また、DpaのTV放送(*4)は、NHKのTV放送(*3)を放送法6条により再放送したものですので、番組内容はNHKのものと一致しますが、NHKは単に番組を提供しているにとどまりますのでDpaのTV放送(*4)はNHKの放送ではありません。結果として、放送法32条1項本文の「協会の放送」ではないことになります。
協会の放送でないことから、衛星セーフティネットについては受信料を支払う必要はありません。

ただし、衛星セーフティネットを受信できる設備を持っている者は、通常の衛星放送も受信できることから、NHKのBS衛星放送に関する受信契約を締結する必要が出てくるでしょう。
結果として、衛星セーフティネットの対象者が日本放送協会放送受信規約にて受信契約を締結した場合は、NHKの地上波TV放送と同一の番組(正確には東京地方の番組)を見ることができるのですが、NHKの地上波TV放送は受信できないことから、地上系によるテレビジョン放送の自然の地形による難視聴地域において衛星系によるテレビジョン放送のみの受信する場合の料金体系である「特別契約」になり、料金もそれに従ったものとなります。

これが、上記引用部分の「他方」から始まり引用部分最後までの記述を丁寧に解説したものです。

上記の議論をケーブルテレビに応用すると

ケーブルテレビに加入した場合は、以下の図3の通りとなります。
ここでは、各家庭で受信するときには以下図3でわかるようにケーブルテレビ局の有線放送(または有線役務利用放送)(*7)を受信します。これはNHKの放送ではありません。またケーブルテレビ局の有線放送または有線役務利用放送(*7)は、NHKのTV放送(*6)を有線テレビジョン放送法13条(または電気通信役務利用放送法12条)により再送信したものですので、番組内容はNHKのものと一致しますが、NHKは単に番組を提供しているにとどまりますのでケーブルテレビ局の有線放送(または有線役務利用放送)(*7)はNHKの放送ではありません。結果として、放送法32条1項本文の「協会の放送」ではないことになります。
協会の放送でないことから、ケーブルテレビについては受信料を支払う必要はありません。

よって、ケーブルテレビを通じてNHKの番組を見ている者は、協会の放送を受信不可能な受信設備を設置していることになり、放送法第32条1項による受信契約の締結義務は発生しません。(別途アンテナも立て、放送も受信できるようにしている場合は除きます。)

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[book/放送・有線放送]

放送法を読みとく / 2009-08-12 (水)

本記事では、「放送法を読みとく」と言う書籍を紹介します。
まず本記事の所属するbookカテゴリは、本を読んで簡単なメモを書いていくカテゴリです。本記事はそのbookカテゴリの19冊目となります。

「放送法を読みとく」は、はしがきによると30・40歳代の研究者・実務者で組織した「放送法研究会」の成果とのことです。12人の執筆者が分担して執筆した書籍であり、それぞれの執筆者が分担部分の責任を持つが、打ち合わせにより全体としての統一を図り体系書としての体裁を整えているそうです。

第1編・第2編の内容は、最後に記載している目次を見てもらえればわかるような項目についてなのですが、本書は基本的に放送の自由に関する興味関心が根本にあり、そのような方向から放送法を俯瞰したような書籍として仕上がっています。
放送の自由と言っても、国に放送内容について口出しされない自由を意味する「国家からの自由」だけではなく、放送事業者が偏った放送をした場合に国家が介入することで情報多様性を目指す「国家による自由」をも視野に入れた論考をしています。
もちろん、「国家による自由」は制度設計をきちんとしなければ単なる言論弾圧の手段となる可能性があることも触れられています。

第3編は、放送法の逐条解説です。執筆分担を見ると、第3編Ⅰ(1条、3条、3条の2)を書いている成城大学法学部の西土章一郎准教授以外の方は、全て日本民間放送連盟またはNHKに勤めたことのある方ばかりで、実務者に書いて頂いたのだろうと思います。

他にも「放送法を読みとく」の内容で触れたいことはありますが。それは別の記事に書くことにします。

再読する必要は?

放送法の逐条解説は、なかなかいいものであると思います。私にとって、必要に応じて読む価値がある本です。


タイトル: 放送法を読みとく
著者: 鈴木 秀美・山田 健太・砂川 浩慶=編著
出版社: 商事法務
発売日: 2009年7月
定価: 3300円(+税)
ISBN-13: 978-4-7857-1664-6
目次: 第1編 放送を取り巻く現状と系譜
 I 放送とは何か--「放送」概念の変遷…………2
 Ⅱ 日本の放送実態…………16
 Ⅲ 放送法制の変遷…………34
 Ⅳ 放送行政の変遷…………60
第2編 放送法制の全体像
 I 放送の自由・総論…………92
 Ⅱ 放送の自由・各論--番組編集準則を巡る憲法論…………105
 Ⅲ 免許制度…………115
 Ⅳ 放送を取り巻く諸制度…………130
 Ⅴ 規制機関の国際比較…………153
第3編 放送法解説
 I 総則(第1章)・放送番組の編集等に関する通則(第1章の2)…………172
 Ⅱ 日本放送協会(第2章)…………212
 Ⅲ 放送大学学園(第2章の2)…………280
 Ⅳ 一般放送事業者(第3章)…………282
 Ⅴ 受託放送事業者(第3章の2)・委託放送事業者(第3章の3)…………290
 Ⅵ 認定放送持株会社(第3章の4)…………296
 Ⅶ 放送番組センター(第4章)…………303
 Ⅷ 雑則(第5章)・罰則(第6章)…………306
第4編 資料
 I 放送法に関係する法令とそのURL…………318
 Ⅱ 放送普及基本計画…………320
 Ⅲ 電波法関係審査基準…………322
 Ⅳ 地上デジタルテレビジョン放送局の免許及び再免許方針…………323
事項索引…………331