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涼宮ハルヒの憂鬱 無駄知識シリーズの記事一覧

NHK 受信料・受信契約に関する記事一覧

(注意)2011年に放送法が改正されたので、それ以前のNHKに関する記載は現状にそぐわない可能性があります。

[NHK]

会社支給のワンセグ携帯とNHK受信料の支払いについて / 2009-07-10 (金)

今日は、会社から支給された携帯電話がワンセグ携帯であった場合に、NHKの受信料はどのような扱いになるのかです。

放送法

第三十二条  協会の放送を受信することのできる受信設備を設置した者は、協会とその放送の受信についての契約をしなければならない。ただし、放送の受信を目的としない受信設備又はラジオ放送(音声その他の音響を送る放送であつて、テレビジョン放送及び多重放送に該当しないものをいう。)若しくは多重放送に限り受信することのできる受信設備のみを設置した者については、この限りでない。

とりあえず、個人所有の携帯電話にワンセグ受信機能がついている場合は、ワンセグ携帯とNHK受信料の支払いについてを参照してください。

まず、「NHKのテレビジョン放送を受信することのできる受信設備」を設置したのは誰かが重要です。なぜなら、放送法32条では受信設備を設置した者が放送の受信についての契約をしなければならないとされているからです。

会社支給のワンセグ携帯を受信機として使用できるように設置した者は、間違いなく会社です。会社支給のワンセグ付携帯を受け取っている社員ではありません。
例え、使用している社員自身が、携帯電話の業者から会社に送られてきた携帯電話の梱包をはずして電話機として使用できるようにする作業を行っていたとしても、これは会社の業務を会社の従業員たる社員が行っただけであり、その社員個人が受信機を設置したのではありません。
ですから会社支給のワンセグ付携帯を利用している社員は、自身で受信契約を結ぶ必要はありません。

では、ワンセグ携帯を支給した会社が、それを理由としてNHKと受信に関する契約をする必要があるかどうかですが、これは通常必要ありません。なぜなら、通常の会社であれば、ワンセグ付携帯であっても電話として使用することを目的に渡すのであって、テレビを見ることを目的として渡すわけではないからです。
会社が電話を選ぶ際は、通常であれば電話連絡を取ったり、GPS携帯で社員の場所情報を取得することを目的に機種を選ぶのであって、ワンセグ機能でテレビ放送を受信することを目的に機種を選んだのではなかろうと言うことです。すると、放送の受信を目的としない受信設備ですから、放送法32条により受信契約を締結する必要がありません。

ただし、例えばテレビ番組制作会社が、移動中もテレビを見て番組研究をすることを目的に渡したなど、放送の受信を目的とした受信設備なのであれば、放送法32条により会社は受信契約を締結する必要があることになります。

おまけ

私は、会社から携帯電話を支給されていません。幸いなことに

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[NHK]

NHKで法律違反といえば / 2009-05-24 (日)

本来は、明日こそ最速サンテレビを見よの後には、アニメ 涼宮ハルヒの憂鬱特集記事を載せる予定だったのですが、法律違反と自業自得 - 新世紀のビッグブラザーへ blogの記事に触発されてNHK関連に変更です。

放送法3条の2

前提として、放送法3条の2では国内放送の放送番組の編集に当たって「政治的に公平であること」「報道は事実をまげないですること」「意見が対立している問題については、できるだけ多くの角度から論点を明らかにすること」などが求められています。
しかしながら、上記記事(法律違反と自業自得 - 新世紀のビッグブラザーへ blog)によれば一方的な視点で編集された番組が放映されたとして問題視され、意見広告の掲載に至ったようです。なお、放送法3条の2に反した場合どうなるかという問題ですが、電波法76条によれば無線局の運用の停止、登録の停止、免許の取消等を行うことができることになっています。

実際、過去には放送法3条の2に違反をしたと見られた東京の放送局に対して「放送局の免許を取り消せ」と主張しているデモもあったと記憶しています。しかし、「免許の取消等を行うことができることになっています」というのには理由があって、実際にそういう問題が起きたときに処分できるかと言えば難しいわけです。
まず、表現の自由に関係する憲法上の問題から放送法3条の2を訓示規定や倫理規定と解釈して、直接の処分の用件とはならないとする学者がそれなりの数いること。もう一つは、先の主張が原因の一部となりますが、実際に放送局に免許の停止処分をした場合にはよほどの原因がなければ野党は攻撃材料にするでしょうし、マスコミからも総攻撃を食らうなど政治的に大きな問題となることが予想されますから、「放送法3条の2に反する放送」が事実としてあった場合でも総務大臣は免許の取り消しまで踏み切ることは難しいでしょう。

放送法3条

さて、例えばNHK番組改変問題について放送法第三条の「放送番組は、法律に定める権限に基く場合でなければ、何人からも干渉され、又は規律されることがない。 」に違反して介入されたとする立場の人々がいます。(なお、放送法3条に反した場合にどうなるかという問題ですが、電波法76条によれば無線局の運用の停止、登録の停止、免許の取消等を行うことができることになっています。)
ただし、「このような立場の方々」は「介入したのは政権関係者」との立場ですから、当然総務大臣による免許の取り消し等は考えません。しかしNHKに自己の主張を反映させるのが難しいことは先の免許の停止を求めている人々と変わりません。

そこで、「このような立場の方々」から最近聞かれるのが「受信契約は双務契約であり、NHKは放送法にもとづいた放送をおこなう義務がある」との主張です。つまり、介入された放送がされればその分の受信料は払う義務がないとする主張です。
しかし、日本放送協会放送受信規約では、NHKは月の半分以上テレビジョン放送を送信しなかった場合に受信料を徴収しないとしているだけです。放送の有無については言及されていますが、その内容に関しては何ら言及がありません。例え、放送内容が放送法3条に反して政治介入された放送であろうが、放送法3条の2に反して政治的に公平でなかったり事実を曲げたり偏った視点からのみ編集された放送であろうが、日本放送協会放送受信規約の上では問題ない放送であると考えるべきでしょう。
私は、現在の「受信契約は双務契約であり、NHKは放送法にもとづいた放送をおこなう義務がある」との主張は、「発想に見るべき点はあるものの筋の悪い方法」と思っています。

受信契約

もし、私がNHKに放送法に従った放送をするようにしてほしいと思う受信設備設置者であれば、「受信契約を使う」と言う発想だけを借りて、受信契約を締結する前に日本放送協会放送受信規約に以下の条文が追加された契約を受信契約として締結することを求めます。(以下は一例です。詳細は検討する必要があるでしょう。)

(NHKの義務違反)
第12条の3 NHKが次の各号の1に該当するときは、所定の放送受信料を返金するほか、その2倍に相当する額を割増金として返金しなければならない。
 (1)受信契約の締結および放送受信料の集金について不正があったとき
 (2)放送内容について放送法に従っていない部分があると当該放送受信契約者が認定した場合
2 前項に定める所定の放送受信料とは、前項各号の問題点が発生した日以降、改善されるまで(放送内容については訂正放送を流すなどの方法で改善されたと当該放送受信契約者が認定するまで)の期間に相当する受信料とし、1月未満の期間は1月として計算する。

そもそも放送事業者は電波法や放送法を始めとする法令を守って放送を行っているはずです。その元来守っているはずの放送法を受信契約で守るように求めるだけの契約をNHKが認めないと言うことがあれば、それは「NHKは放送法を守りません」と言っているに等しいわけで納得できませんよねぇ。
また、2倍の割増金を払うのは、日本放送協会放送受信規約では放送受信契約者が義務違反をした場合に行われていることで、それをNHKにも敷衍しただけですから特に不当な規定とは言えないでしょう。

もちろん、NHKが上記の受信契約の締結を拒否すれば受信契約は締結できないことになります。これは、NHKは締結する受信契約の内容については総務大臣の許可を要するものの、受信設備設置者と受信契約を締結する義務がない[1]ことによります。

このとき、受信設備設置者は受信契約の内容に関しては法律上全く制限されていない[2]ことと、民法により両者の意志が一致しなければ契約は成立しないことから、結果として受信契約は締結されないことになります。後は、契約の自由に関係する憲法上の問題から放送法32条を訓示規定や倫理規定と解釈することも可能かもしれませんが、その辺は私詳しくないのでふれません。

もしこの状況が不都合で、このように意見がまとまらない場合でも受信契約を締結させる必要があると国が考えていたのであれば、受信設備の設置者が裁判所に申し立てると裁判所がそれぞれの事情を勘案してふさわしい契約を認定し、強制的にNHKとの契約関係を成立させるような法制度を考えていたでしょうが、現在のところそのような制度はありません。

NHKで法律違反といえば(私見)

NHKで法律違反と言われたときにすぐに浮かんだのが以下事項です。放送内容とは関係ないかもしれませんが、早急に是正する必要はあると思いますがどうなんでしょうかね。

・池田信夫氏などが言われていた放送法9条9項違反(B-CASをつけない放送受信用機器を排除しようとしている)

・「放送法違反」といえるかは微妙ですが法律違反になるネタとしては、有線放送(ケーブルテレビ・CATV)受信者は受信契約を締結する義務がないのに偽った説明をして受信契約を集めている[3]として「ケーブルテレビ2000万世帯をだます日本最大の詐欺集団」として訴えていくのも良いでしょう。
ケーブルテレビから受信料を取っているのは、ラジオの聴取料があった時代に有線ラジオにおいて官僚の答弁で聴取料が取れるとした答弁があるからですが、これは大学教授などの学者は誰も認めていない(少なくとも今現在の私は、有線放送についても受信契約を締結する必要があることを認めた書籍を発見していない)ことからわかるように、誠にうさんくさい話なのです。
答弁した官僚自身が書籍を発刊しているのですが、会社法関係の書籍は数冊出しているが放送法関連の書籍はないとか、放送技術に関する書籍のみ発刊しているとかで、そもそも放送法関連の法律を十分理解して答弁していたかどうかから疑わなければならない有様です。
では、放送法をわかっている方はと見れば、国会審議でも参考にされる「放送法制の課題」にはそもそも有線放送を受信する受信設備設置者が受信契約を締結する義務があるかどうかについては記載されていません。日本放送出版協会から発行されたNHK出身の方が書いた「新・放送概論―デジタル時代の制度をさぐる」にすら有線放送を受信する受信設備設置者が受信契約を締結する義務があるかどうかについては記載されていないのですから徹底しています。一方、筑波大学大学院 人文社会科学研究科 憲法学専攻の教授が書いた、「NHK受信料は拒否できるのか」では、ケーブルテレビ加入者から受信料は取れないとしています。

注釈

[1]少なくとも現行法上は、受信設備設置者がNHKの言う日本放送協会放送受信規約に基づく契約を申し込んでも受信契約を結べない可能性がありますし、実際に受信契約の締結を受信設備設置者(又は関係者)が求めているにもかかわらず、NHKが締結しなかったこともあります。
テレビ番組録画サービス「録画ネット」を巡る法的議論 によれば、

実際、春日氏(録画ネット運営元の有限会社エフエービジョン顧問弁護士:引用者注)によれば、放送局側が仮処分申請を行なう前(2003年10月ごろ)から受信料の支払いなどについてNHKと交渉を行なっていたが、当初はほとんど放置状態だったという。しかし、2004年6月になって急に「アテネ(五輪)が始まるから困る」とNHKから連絡があり、その後間もなくサービス停止を求める内容証明郵便が送られてきたという。

NHKに受信機器設置者と受信契約を締結する義務があるのであれば、このような場合にも受信契約を断ることはできないはずです。なぜなら録画ネットのサービスが著作権法違反であろうとも、受信設備が設置されていることには違いないからです。
実際はNHKには受信機器設置者と受信契約を締結する義務がないので、NHKは著作権法違反の訴訟のみを行い、受信契約の締結は行わなかったわけです。

[2]受信契約の内容に関して総務大臣の許可を要するのはNHKだけです。
つまり、NHKが当該の受信設備設置者とどうしても契約を結ぶ意志があれば、受信設備設置者の提案した受信契約をNHKから法務大臣に認可申請して許可をもらえばよいのです。

[3]要するには放送法32条は有線放送には適応されないと言うことです。当サイト内の以下記事を参照願います。
 ケーブルテレビとNHK受信料
 ケーブルテレビと受信料に関するNHKの主張の誤り(上記記事の説明を補完しています)
 マンションにおけるNHK受信契約・受信料について
 NHK受信料は拒否できるのか(書籍紹介の記事)

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[NHK]

ケーブルテレビと受信料に関するNHKの主張の誤り / 2009-03-22 (日)

NHKに対して、ケーブルテレビの場合にNHKの受信料を払わなくていいのかと質問する人がいるようで、NHKの回答がよくいただく質問の中にあります。
ところが、NHKは受信料を払ってほしくて必死なのか、法的に間違っている回答をしています。そこで、本記事ではどこが誤っているかについて記載したいと思います。

まずは、その内容を以下に引用します。

NHK 受信料の窓口 よくいただく質問 より

ケーブルテレビの受信は放送法の規定によらず、有線放送法の規定に従うのでは?

ケーブルテレビを通じてNHKの放送番組を視聴している場合でも、放送法32条が適用され、受信契約を結んでいただかなくてはなりません。
「協会の放送」とはNHKが行う「公衆によって直接受信されることを目的とする無線通信の送信」をいいます。(放送法第2条第1号)
一方、同項において、NHKと受信契約を締結する義務を有するのは、「協会の放送を受信できる受信設備を設置した者」とされており、ここでは「直接受信」ではなく、単に「受信」と規定されています。
したがって、「協会の放送を受信できる受信設備」とは、直接または間接(有線テレビ放送施設を介して受信する場合)を問わず、NHKが送信する放送番組を視聴できる受信設備のすべてをいうものです。

NHKは、その公式サイトにおいて単に「受信」とされている場合は「有線テレビ放送施設を介して受信する場合」を含むと主張しています。しかし、これは学者に支持される解釈ではありません。
例えば、1989年初版発行の放送法制の課題(有斐閣:塩野宏著)に収録されている論文を見てみます(塩野宏は放送法制の課題出版当時は東大法学部教授です)。この中には、著作権シリーズ57号(1979年)「再送信の同意権と著作隣接権」という論文が掲載されています。なお、誤記は放送法制の課題に掲載する際に修正したとのことですが、原則として公開されたままとしているとのことですので、この論文の記載は1979年当時の法律を念頭において読み取る必要があります。
ここで、論文の最後の注釈には以下の通りの記載があります。

放送法制の課題(有斐閣:塩野宏著)の210ページより

(21) 放送事業者の有線放送権の及ぶ範囲は、放送を直接受信しての有線放送に限られており、他の有線放送事業者が行う放送の再送信を受信して再送信する有線放送には権利は及ばない。また、放送の再送信に関しては、有線放送事業者には著作権法上何らの権利も認められていない。したがって、この種の間接的な再送信にも放送事業者の有線放送権が及ぶよう法律上の手当をする必要がある。

次に、1979年の著作権法から、放送事業者の権利の節だけを抜粋します。

著作権法(1979年当時のものの抜粋)

第四節 放送事業者の権利

(複製権)
第九十八条 放送事業者は、その放送又はこれを受信して行なう有線放送を受信して、その放送に係る音又は影像を録音し、録画し、又は写真その他これに類似する方法により複製する権利を専有する。

(再放送権及び有線放送権)
第九十九条 放送事業者は、その放送を受信してこれを再放送し、又は有線放送する権利を専有する。
2 前項の規定は、放送を受信して有線放送を行なう者が法令の規定により行なわなければならない有線放送については、適用しない。

(テレビジョン放送の伝達権)
第百条 放送事業者は、そのテレビジョン放送又はこれを受信して行なう有線放送を受信して、影像を拡大する特別の装置を用いてその放送を公に伝達する権利を専有する。

ここで、NHKが主張するように「直接受信」ではなく単に「受信」と規定されていれば有線テレビ放送施設を介して受信する場合を含むのであれば、1979年当時の著作権法99条では「放送事業者は、その放送を受信してこれを再放送し、又は有線放送する権利を専有する。」のですから、「放送事業者は他の有線放送事業者が行う放送の再送信を受信して再送信する有線放送にも権利が及ぶ」ことになります。
しかし、塩野宏は上記の引用部分で「放送事業者の有線放送権の及ぶ範囲は、放送を直接受信しての有線放送に限られており、他の有線放送事業者が行う放送の再送信を受信して再送信する有線放送には権利は及ばない。」としています。これは、単に「受信」と規定されている場合には有線テレビ放送施設を介して受信する場合を含まないと解釈していることを示しています。

正直な話、私としては一目見ればNHKが怪しいことを言っているのはわかるだろうとは思うのですが、やはり「天下のNHK様が誤ったことを言うわけがない」と考える方も多いと思いますので、それなりに信頼されているであろう東大教授が執筆された放送法制の課題を引っ張り出してきてNHKの誤っているところを指摘してみました。
まあ、普通に文言通り解釈すれば、「受信」との記載では「直接受信する場合のみを指す」、「有線テレビ放送施設を介して受信する場合は含まない」ことは明らかであると思います。

注記

2009年5月4日注記

筑波大学大学院 人文社会科学研究科 憲法学専攻の土屋英雄教授が執筆した「NHK受信料は拒否できるのか」では、NHKがケーブルテレビに入っていても受信料を支払うの?として公開している上記の主張について、「この解釈はさほど説得力がない。」として否定しています。
当サイト内の「NHK受信料は拒否できるのか」紹介記事に詳細を書いていますので、必要であればそちらを参照願います。

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[NHK]

(改訂版)ワンセグ携帯とNHK受信料の支払いについて / 2009-03-20 (金)

重要

2009年5月2日追記

以下の結果として取り消すことになった記事は、要するには電波・放送関係の法律において「設置」が法的にどのような意味で使用されるかという問題について書いた記事です。

その辺について確認するため、学陽書房の「法令用語辞典 <第七次改訂版>」を図書館より借りてきました。ちなみに第七次改訂版は平成8年に発行されていますので、引用されている民法は民法現代語化以前のものです。よって、片仮名が使用されています。
「法令用語辞典 <第七次改訂版>」の446ページでは、「設置」を以下のように記述しています。

設置

あるものを新たに設けることをいう。
1) 単に物を物理的に設ける行為を、その物の保存又は管理の行為と比較して「設置」という。例えば、「界標ノ設置及ビ保存」(民法224)、「公の営造物の設置又は管理」(国家賠償法2Ⅰ)等は、この意味に使われた例である。
2) ある施設又は制度を法律上の存在として設ける行為をいう。国又は公共団体の機関について最も多く用いられる。用例としては、「法律の定めるところにより設置する下級裁判所」(憲法76Ⅰ)、「議会を設置する」(憲法93Ⅰ)を始めとして、各省の設置、特別会計の設置等多数のものがある。(以下略)

以上から、設置という法律用語からは「移動しない」などの意味は読み取れません。例えば、公の営造物が移動するからと言って国家賠償法の範囲外といわれても困るでしょう。
このようなことから、「携帯電話(などの移動する通信機器)を設置した」などのように使用される可能性があると考えます。私が確認した範囲では、電波・放送関係の法律では移動する通信機器には「設置」の用語を使用していないように見受けられましたが、積極的に「移動する通信機器は固定されておらず、言葉の定義上設置されていない」とまで言えるものではないと考えます。

2009年4月26日追記

某所で当サイトのこの記事が引用されていたのですが、そこでは論理に飛躍があるのではないかとする批判がありました。よくよく考えてみると、確かにそうであったかもしれないと思いましたので、以下の意見は取り消します。

以上のことから、今後は本記事であるワンセグ携帯とNHK受信料の支払いについてを参照願います。

以下は、当サイトの過去の資料としておいておきます。

追記前の冒頭部

今日は、ワンセグ携帯電話、車載テレビなどを持ってる場合に、NHKの受信料はどのような扱いになるのかです。
当サイトにおける従前の立場は、放送の受信を目的としない受信設備である携帯電話についてはNHKと受信契約を締結する義務はなく、放送の受信も目的とした受信設備である携帯電話はNHKと受信契約を締結する義務があるとしたもの(ワンセグ携帯とNHK受信料の支払いについて)でしたが、本日をもって訂正します。

結論を先に言えば、ワンセグ携帯電話、車載テレビ、ワンセグテレビチューナーを接続したノートパソコンなど、移動して使用するテレビなどの所有者は、NHKを毎日何時間見ていても法律上NHKと受信契約を締結する必要はありません。(もちろん、他にもテレビを所有しているような場合は、そのテレビが原因でNHKと受信契約を締結する必要が出てくる場合もあります。)
以下ではその理由を記載します。

まず、ワンセグ携帯電話は、携帯電話の基地局と端末である携帯電話機の間で電波による無線通信を使用することから、電波法に定める無線局として無線局免許状が必要です。(この免許は、NTTドコモ、au、ソフトバンクとかの事業者が管理しています。)
携帯電話としての無線局免許状を得るためには、電波法6条に従い申請書を提出する必要があります。この申請書には「無線設備の設置場所」を書く場所がありますが、移動する無線局であることから電波法6条に従い「移動範囲」を記載することになります。

電波法

第二条 この法律及びこの法律に基づく命令の規定の解釈に関しては、次の定義に従うものとする。
1.「電波」とは、300万メガヘルツ以下の周波数の電磁波をいう。
2.「無線通信」とは、電波を利用して、符号を送り、又は受けるための通信設備をいう。
3.「無線電話」とは、電波を利用して、音声その他の音響を送り、又は受けるための通信設備をいう。
4.「無線設備」とは、無線電信、無線電話その他電波を送り、又は受けるための電気的設備をいう。
5.「無線局」とは、無線設備及び無線設備の操作を行う者の総体をいう。但し、受信のみを目的とするものを含まない。
6.「無線従事者」とは、無線設備の操作又はその監督を行う者であつて、総務大臣の免許を受けたものをいう。

第六条 無線局の免許を受けようとする者は、申請書に、次に掲げる事項を記載した書類を添えて、総務大臣に提出しなければならない。
1.目的
2.開設を必要とする理由
3.通信の相手方及び通信事項
4.無線設備の設置場所(移動する無線局のうち、人工衛星局についてはその人工衛星の軌道又は位置、人工衛星局、船舶の無報局、船舶地球局(電気通信業務を行うことを目的として船舶に開設する無線局であつて、人工衛星局の中継により無線通信を行うものをいう。以下同じ。)、航空機の無線局(人工衛星局の中継によつてのみ無線通信を行うものを除く。第4項において同じ。)及び航空機地球局(航空機に開設する無線局であつて、人工衛星局の中継によつてのみ無線通信を行うもの(実験等無線局及びアマチュア無線局を除く。)をいう。以下同じ。)以外のものについては移動範囲。第18条を除き、以下同じ。)
(以下略)

ところが、移動する無線局には「無線設備の設置場所」ではなく「移動範囲」を記載させるというこの規定は、移動して運用する無線設備は設置されていないとする日本国の認識を示しています。つまり、携帯電話を含む移動する無線設備は、日本国が無線局の免許を認可するたびに「設置されていない」と表明しているわけです。
ここで放送法を見てみましょう。

放送法

第三十二条 協会の放送を受信することのできる受信設備を設置した者は、協会とその放送の受信についての契約をしなければならない。ただし、放送の受信を目的としない受信設備又はラジオ放送(音声その他の音響を送る放送であつて、テレビジョン放送及び多重放送に該当しないものをいう。)若しくは多重放送に限り受信することのできる受信設備のみを設置した者については、この限りでない。

以上の通り、放送法32条によれば「協会とその放送の受信についての契約をしなければならない」のは、「受信設備を設置した者」とされています。
ここで、ワンセグ携帯電話は携帯電話の機能として無線設備が搭載されており、これは無線局の免許を取っている以上、日本国より「設置されていない」と表明されています。一方、ワンセグ携帯電話には、ワンセグ機能としてテレビジョン放送の受信のみ可能な無線設備(受信設備)が搭載されています。当然この受信設備も同じ携帯電話に内蔵されている以上、日本国より「設置されていない」と認識されるはずです。
このため、ワンセグ携帯のみ所有している者は、協会の放送を受信することのできる受信設備を設置した者に当たらず、NHKと受信契約を結ぶ必要がないことになります。

車載テレビについても、最近は見ない車載電話との間で同じことが言えます。同じ車に取り付けた場合に、車載電話が法律上設置されていないのに、車載テレビは設置されていることになるというのは相当におかしな認識ですから、当然法律上設置されていないこととなります。よって、車載テレビはNHKと受信契約を結ぶ必要はないことになります。
ワンセグテレビチューナーを接続したノートパソコンについても、同様の議論ができるのでNHKと受信契約を結ぶ必要はありません。

もっと一般的に言うと、NHKの放送を受信可能である移動しながら使用可能なテレビの所有者は、受信設備を設置していないことから放送法32条の要件を満たさず、NHKと受信契約を結ぶ必要はありません。

これは屁理屈ではないのか?

正直に言うと、その可能性はあると認識しています。
例えば、有線放送受信者がNHKと受信契約を締結する必要がありませんが、これは費用負担の面、普及促進の核となる放送局/有線放送局がどこであるかなどの観点から考えると明確な理由があります。((改訂版)NHKの受信料制度の意図
一方、移動して使用するテレビがNHKと受信契約を締結する必要がない理由は、法的にそうである以外に理由はないと考えます。特に移動して使用するテレビを普及させたくて政策的に受信料を不要としたわけでもないでしょう。

しかしながら、日本国は法治国家であるのですから、国民や国内在住の外国人に何かを強制するためには法律で要件を定め、その要件に従っている必要があります。現時点ではワンセグ携帯、車載テレビ等の移動して使用するテレビは法律の要件を満たしていないのですから、法律が要件を満たすように改正されるまでは受信契約を締結する必要はありません。

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[NHK]

テレビ放送受信可能な自動車とNHK受信契約・受信料について / 2008-06-30 (月)

今日は、車にテレビが付いている場合に、NHKの受信料はどのような扱いになるのかです。

放送法

第三十二条  協会の放送を受信することのできる受信設備を設置した者は、協会とその放送の受信についての契約をしなければならない。ただし、放送の受信を目的としない受信設備又はラジオ放送(音声その他の音響を送る放送であつて、テレビジョン放送及び多重放送に該当しないものをいう。)若しくは多重放送に限り受信することのできる受信設備のみを設置した者については、この限りでない。

なお、他に自宅等にテレビがあるなどの理由により、既に世帯で日本放送協会受信規約による受信契約を締結している場合は、日本放送協会受信規約により別途受信契約を締結する必要はないとされています。
以下では、世帯で誰も受信契約を締結していない場合について話を進めます。

解釈上の注意

文言解釈上は、(最近のテレビ付きナビなど)テレビ放送とラジオ放送が両方とも同じ機器で受信可能な場合、ラジオ放送を受信する目的を持っていた場合は、テレビ放送を受信する目的が無くとも受信契約の締結義務があると読むことができます。ただし、これを正しいとすると、テレビ放送とラジオ放送が両方とも同じ機器で受信可能な場合、NHKのラジオ放送が受信可能であればNHKのテレビ放送が受信不能である際にも受信契約の締結義務があることになります。
これは、テレビ放送とラジオ放送が両方とも受信可能な機器がないとの前提で作られた条文であることが原因であり、このような解釈はしないようにするべきと思います。

車載テレビが「放送の受信を目的としない受信設備」である場合

車にNHKのテレビジョン放送を受信することのできるテレビが付いている場合、「放送の受信を目的としない受信設備」である可能性について議論可能です。

車を買う場合、移動手段として使用できることはほとんどの使用者が要求するでしょうが、他の機能の全てを要求しているかと言えば、必ずしもそうではありません。
デザインの良さ、車としての性能、定員、積載量などから、購入者の重視する項目はそれぞれに異なるでしょう。

例えば、デザインの良さを重視して購入した車に、NHKのテレビジョン放送を受信することのできるテレビがはじめから取り付けられていた場合、これは放送の受信を目的とした受信設備なのでしょうか。車本体に標準装備でつけられていたり、中古車ではじめからついている場合は、車を使用することが目的で(放送の受信を目的とせずに)受信機が設置されることはありえます。
このようにはじめから車に取り付けられている車載テレビは、放送の受信を目的とせずに自動車を購入する際にその一部として購入されていることから、「放送の受信を目的としない受信設備」であると考えます。

よって、「テレビ番組を見ることは可能だが、移動をすることが目的で買った車に目的外のテレビ機能がついていただけであり、放送法32条1項ただし書きの要件を満たさないため受信契約を結ぶ義務はない。結果として受信料を払う義務は存在しない。」との主張をすることになるでしょう。

なお、NHKも認めていると言われる「放送の受信を目的としない受信設備」には、販売を目的として店頭に陳列・在庫している受信設備があります。多くの場合、電源が入っており、アンテナとも接続されている模様で放送の受信が可能です。家電量販店では、お客さんがテレビを見ていることもありますが、設置者である家電量販店は放送受信時の画質等の確認を目的としており、放送の受信を目的としないので受信料を払う必要はないようです。

車の購入時に放送の受信を目的としていなかった人の場合、所有者以外の同乗者がテレビをつけることもあると思います。また、所有者自身であっても車に付属のテレビで番組を見ながら、画面の写り具合や映像の乱れなどを総合的に評価し、車に付属のテレビをテレビジョン放送の受信も目的として使用するかどうかを判断する人もいるでしょう。
このようなことから、単に車でテレビを見たことがあることのみで、受信契約の締結義務があると他人が決めつけるのは不適切です。車の所有者が、放送の受信を目的とするかどうかをそれぞれの事情に応じて判断すればよいと思います。

なお、新車で標準装備されたテレビであれば、車運転中にはモニタにテレビ画面が表示されないようになっていると思います(後部座席のみに見える位置にあるテレビは違うかもしれません)。これをあなたが(自動車屋に依頼するなどして)改造して移動中にも画面表示されるようにしていれば、放送の受信を目的とすると考えるのが順当と思います(放送の受信を目的としないのであれば、そのような改造を行う必要性はないですからね)。
ただし、中古車であれば、前の所有者が移動中にも画面表示されるように改造していたものを購入することもあるでしょうから、車運転中にモニタにテレビ画面が表示されている場合は必ず放送の受信を目的としていると言うわけでもありません。

車載テレビが「放送の受信を目的とする受信設備」である場合

始めから自動車でテレビを見ることを目的として購入した場合、「放送の受信を目的とする受信設備」となり、受信契約を締結する義務が生じます。自動車にオプションでテレビを取り付けた場合や、車運転中にモニタにテレビ画面が表示されるように所有者が改造した場合も、テレビ放送を見る気がなかった場合はそのような注文をする必要がないので「放送の受信を目的とする受信設備」となると思われます。
(ただし、自動車にオプション・後付でテレビをつけた場合であっても、カーナビ・FMラジオ等の取り付けを依頼したところ、カーナビのテレビ機能も使用できるようになった場合など、放送の受信を目的としない受信設備に該当すると解釈可能な場合もあるかもしれません。)

また、当初はその意図はなかったものの、途中からテレビ機能付き自動車をテレビジョン放送の受信も目的として使用することにした場合は、テレビジョン放送の受信を目的とした日以降は放送法32条1項により受信契約を締結する義務が生じると思われます。

法律上、受信契約を締結する義務はありますが、日本放送協会受信規約により締結する義務はありません。NHKと充分に話し合いをして双方納得の受信契約を締結するようにしましょう。

テレビ機能付き自動車が「NHKのテレビジョン放送を受信することのできる受信設備」ではない場合

論理的にはあり得るのですが、自動車は結構な距離を移動するので実際にこのようなことになることは少ないのではないかと考えます。

自動車でこれが問題になりうるのは、アナログ放送停波後ぐらいですかね。

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