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[政治とか/2004]

竹中大臣の不思議な発言 / 2004-08-28 (土)

先ほどのNHKニュースで竹中金融・経済財政担当大臣が、「民営化後も郵便事業に全国一律のサービスを義務づける代わりに、赤字が出たら政府が負担する必要がある」などと言っていると報道がありました。

ちょっと聞けばその通りかも知れないのですが、この論理が正しいのは全国一律のサービスを義務づけられていない郵便事業者もいる場合だけです。*1 現在は、信書を運ぶ企業・郵政公社には全国一律のサービスが義務づけられているので、全国一律のサービスを義務づけられていない郵便事業者は存在しません。*2
つまり、竹中大臣は「特定条件を満たす全員に○○を義務づければ、政府はその代償を支払わなければならない」と言っていることになるのですが、この論理は明らかにおかしいです。全ての工場に環境規制を守ることを義務づけたら、政府は必要となった費用を全て払うのでしょうか?*3 そうではなくて、製品の費用に上乗せして最終的に消費者に払ってもらうか、その分の費用を経営努力で吸収するかのいずれかとなるはずです。
もっとわかりやすく、○○に「納税」を入れてみればこんな文章になります。

「特定条件を満たす全員に納税を義務づければ、政府はその代償を支払わなければならない。」
これでは普通に納税するべき人に全てキャッシュバックする必要が出てきて税金が集まりませんが?

竹中先生に任せれば、日本を金が無くとも運営できる「素晴らしい国」にして頂けるということなのでしょうか?

*1 この場合でも、政府ではなく全国一律のサービスを義務づけられていない郵便事業者に費用負担を求めるという方法もあります。
*2 地域を限定して行うことが法律上認められている、一部特定のサービスを除く。
*3 早期の問題解決を目指し、政策的に補助金を出すことはあるでしょう。

ここまで書いたところで、竹中大臣は「郵政公社の民営化後は、現在と異なり信書を運ぶ企業には全国一律のサービスを義務づけない」と主張しているのかという考えが浮かびました。
もしそうだとすると、全国一律のサービスを義務づける民営化後の郵便局には赤字が出たら政府が負担するというのは、一応は筋が通っています。

まあでも、宅急便をはじめとする宅配業者の今の窓口の数と全国(災害地域等一部除く)に宅配できる実績を考えたら、少なくとも数社は全国一律のサービスといえるレベルと私は考えるのですがね。